2021.9.12
人気翻訳家・村井理子さんの読書案内から「よみタイ」編集部員のイチオシ本を紹介!
担当編集K『直しながら住む家』『日本の住まいで楽しむ北欧インテリアのベーシック』
*「長引く自粛生活のなかに始めた楽しみ—スランプは乗り越えられるか」(2021年1月25日公開)で紹介された本
*「普通が一番幸せという言葉の重み-先が見えない閉塞感のなかで」(2021年5月3日公開)で紹介された本
村井理子さんは、とにかく忙しい方です。
途切れない仕事(しかも、いずれも濃い!)、家事、ハプニングだらけの介護をめぐるあれこれ、さらに、来春の受験を控えた二人の息子さんがいらっしゃる。分厚い翻訳書、自著の刊行、6本の連載、さらに、頻繁に発せられるTwitterは、引きが強く、目についたら読まずにいられません。
なんとエネルギッシュなのだろうと思うのですが、選書にはそんな村井さんの、ちょっとした小休止やら、吐息やらも感じられ、<村井理子B面>を拝見するような気持ちで、毎回原稿をお受け取りしています。
連載31回の「自分一人の世界を持ちたい」願望が、村井さんにじわりじわりと蓄積していたのだとわかる、『直しながら住む家』、『日本の住まいで楽しむ北欧インテリアのベーシック』は、現実に引っ越せなくても、脳内で自分だけの空間を作り上げる楽しみを刺激する2冊で、繰り返し見て妄想しています。
今の生活が嫌なわけではない、ましてや家族が憎いわけではないけれど、どこか別の空間へ身を置きたい50代主婦、母の胸のうち…ふと現実に戻れば、散らかった自宅室内…息子たちよ、片付けろ(怒)…賃貸物件の動画、見出したら止まりません…
同世代、ラブラドールや思春期の息子たちとの暮らしが我が身に重なるからというだけで、村井さんのエッセイに感情移入してしまうわけではありません。悲劇と喜劇が表裏一体である日々が描かれ、世代や立ち位置によって読み味は変わることでしょう。ご本人は特に意識されていないと思いますが、多くの読者につかず離れず寄り添うものをお書きになる方です。
フィクション、ノンフィクション、コミック、写真集、実用書…選書のバリエーション(も、意図的に考えてくださっていると思います)は、偏りがちな読書脳を全角度的に揉みほぐしてくれます。
そして、とにかく多忙な村井さんが、原稿が遅れそうになると必ず事前に「すみません!書きます書きますいつまでに!」というご連絡をくださること、原稿やゲラのやり取りでくださるメールのメッセージも抜群に面白いことを、最後につけ加えます。
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いかがでしたか?
読書の秋、みなさんも新しい本との出会いの場として、こちらの村井さんの読書案内を参考にしてみてはいかがでしょうか。
そして、古今東西の本に触れてきた村井さんが、さらにどんな本を紹介してくださるのか……。どうぞ今後の連載もお楽しみに!
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