よみタイ

人気翻訳家・村井理子さんの読書案内から「よみタイ」編集部員のイチオシ本を紹介!

編集I『ひきこもり図書館』

「取り越し苦労の達人―落ちた自分を助けることが出来るのは」(2021年7月12日公開)で紹介された本

頭木弘樹編『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』(毎日新聞出版/2021年2月)
頭木弘樹編『ひきこもり図書館 部屋から出られない人のための12の物語』(毎日新聞出版/2021年2月)

ご自分を「取り越し苦労の達人」だと語る村井さん。家族のことや健康に関して悶々と考えてしまう様子に、心配性である私は強く共感しながら読みました。
村井さんが2年間行かなかった歯医者の治療が終わって、外に出た瞬間の
「私の重かった心はこれ以上ないほど、まるで羽ばたいていきそうなほど、軽やかになっていた」
という一文は大袈裟ではなく、<取り越し苦労あるある>をうまく表現されているなと……!

取り越し苦労脱出後に村井さんが読んだ本として紹介されていたのが、『ひきこもり図書館』でした。
ステイホームの時間が長くならざるを得ない<今>読むのにぴったりな物語が集められたアンソロジーです。短編小説、詩、エッセイ、漫画いずれも魅力的で、読み手の心を静かに掴みます。
病床、宇宙、ニート、感覚遮断実験……外に出られない理由は様々ですが、描かれる感情や感覚の変化に対して身に覚えのある人は多いのではないでしょうか。
個人的に印象深かったのは、萩原朔太郎のエッセイ「病床生活からの一発見」。「ひきこもることで、退屈がなくなる」という逆説が説得的に書かれています。
心配性の人もそうでない人も、ステイホームのお供にオススメの一冊です。

スタッフT『作家と犬』

「作文の苦手意識の深層―必死に書いています、どんな本も」(2021年8月9日公開)で紹介された本

平凡社編集部編『作家と犬』(2021年6月/平凡社)
平凡社編集部編『作家と犬』(2021年6月/平凡社)

この連載には、エッセイと読書案内の他にもう一つ注目すべき点があります。
それは、塩川いづみさんが描く、黒ラブラドール・レトリバーの挿絵。モデルは村井家の愛犬・ハリーくんです。
何を隠そう、私はこの“イケワン”ハリーくんの大ファンなのです。
茶目っ気あふれるクリクリお目め、ずんぐりしたお手て、得意げに木の棒を加える姿……たまりません。

村井さんは、『ハリー、大きな幸せ』(2021年8月/亜紀書房)など、ハリーくんについての著書も何冊か出されていますが、その文章は、犬飼いには共感の連続。
犬と過ごす日々の、喜びや不安や楽しさや苦労……全部ひっくるめての「あぁ、愛おしい!」という瞬間や感情をいつも見事に言語化してくださいます。
ハリーくんご本犬の魅力も大きいのですが、村井さんの愛情あふれるエッセイを通してその成長を見守ってきたからこそ、私の“ハリー愛”もここまで大きくなったのだと思います。

そんな村井さんがすすめる“犬本”とあっては、読まないわけにはいきません。
『作家と犬』は、坂口安吾や幸田文、手塚治虫など、錚々たる作家たちの、犬にまつわるエピソードを集めた1冊です。
タイトルは「作家<の>犬」ではなく、「作家<と>犬」なので、愛犬だけでなく、たとえば、偶然道で出会った犬や近所で飼われていた犬なども登場。犬との距離感に多様性があって読み応えがあります。
なんといっても、作家の目を通してたくさんの時代・種類・性格のワンコに出会えるのが嬉しいところ。一気に何十匹もの犬をもふもふできたかのような感覚になり、犬好きにとっては心の栄養剤的1冊だと思います。

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