2021.5.4
爪切男×川村エミコ“同級生対談”。「もしも二人がクラスメイトだったら?」
前編では、自身の過去を書くときの作家としての向き合い方や、学生時代の思い出トークで盛り上がった二人。
今回の後編では、さらに赤裸々な同級生トークに花が咲き、作品のみならず、お互いの魅力についても話題が広がっていきました。
※本対談は4月中旬に、感染対策に配慮しながら取材と撮影を行いました。
(撮影/齊藤晴香、聞き手・構成/よみタイ編集部)
全国の小学校の図書館においてほしい!
(前編から続く)
川村 爪さんの今回の本ですごく素敵だなと思ったのは、全エピソードの最後に女子へのお手紙があるところ。時を超えたお手紙っていいなと思いました。
爪 今だったら自信を持って「あなたは可愛かった」と言えるので。子どものころは絶対に言えなかったですからね。女の子と変に仲良くし過ぎたらクラスのガキ大将にいじめられる可能性もありますし。
川村 でも実際には意外と爪さんが女の子を泣かしているんですよね(笑)。いじめないようにいじめないようにしてるんだけど、結局泣かしている。フランスからの転校生のパトリシアとか。
爪 なんか地雷を踏んじゃうんですよね。本当にガキだったし。パトリシアの場合は、彼女を助けるナイトになろうと必死で頑張ったのに、うまくいかないことでイライラが爆発してますね。
川村 なるほど。そういう思いもあったんですね。
パトリシアのエピソードに出てきたお菓子、「ねるねるねるね」も懐かしかったです。シルバニアファミリーも出ていますが、私も好きで集めていましたし。同世代なのでめっちゃ懐かくて「わー!」ってなるものが本の中にもいろいろと登場してました。
爪 男子だとビックリマンシールも流行ってましたね。キラカードが出ても、みんなにバレないように一人でこっそり喜ばないといけなかったんですよ。いじめっ子に「この悪魔シールと交換しろよ」って取られるから(笑)。
川村 女子はシール交換が流行ってました。私は年上のいとこがいて、けっこういいシールをたくさん持っていたので、普段、仲良くない女子にシール交換の時だけ話しかけられて、全部持っていかれそうになったりしていました。ヤミ市みたいな感じで。
爪 そういえば前回の対談イベントの時に、女子同士は、僕たち男子が思っている以上に殺伐としているという話を聞いて意外でした。
川村 めっちゃ殺伐としてますよ。女子は残酷です。だから、学生時代の時にモテて、ハタチくらいからモテなくなったという女子の話を聞くと、すんごいニヤニヤしちゃいます。「ほらね〜、顔がいいとか、足が早いとかでモテるのは10代のときだけだよ〜」って。絶対“中身の時代”がやってくるじゃないですか。だから学生時代だけモテてた人ってめっちゃダサいと思ってます!
爪 僕も同じです。実際、小中高って彼女いなかったんで。
川村 でも、本の中では小2で初めて手を繋いでるじゃないですか。私、それがうらやましくて! 私が初めて男子と手を繋いだのは、高2の時の体育祭のパン食い競争で仕方なくだったので。
爪 競技上の手繋ぎをカウントに入れるんですね(笑)。
川村 それを入れちゃダメなら、私、23歳までないですよ!
爪 保健委員だったので、女子を保健室に連れて行く時に手を握ったりもしていましたけど、僕はそれはノーカウントにしています。保健委員の仕事だったから握らせてくれたと思っているんで。
川村 でもそれで嫌がらずに握らせてくれるのは好かれている証拠だと思いますよ。爪さんが保健室に連れて行っていた、よく嘔吐をしてしまう女の子とのエピソードでも「月の上を歩いた宇宙飛行士の一歩よりも、彼女が私のために歩いてくれた一歩のほうが、どんなに価値があるだろう」って書かれているじゃないですか。
大人になるとこうやって人ときちんと話したり深く関わったりすることが減るので、本当に素敵だなと思いました。またいまを生きたくなる、誰かとちゃんと関わりたくなる本だと思います。
小学生にだって読んで欲しいです。小学生の時にイケてなくても大丈夫だよって伝えたい。私もイケてなかったし。でも、爪さんみたいに角度が違ういいところや魅力に気づいてくれる人はいることを知るだけでも救われる人は多いと思います。
全部ふりがなふって、全国の小学校の図書館において欲しい!