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爪切男×川村エミコ“同級生対談”。「もしも二人がクラスメイトだったら?」

雑誌の怪しい広告に食いついていた中学時代

――同級生のお二人ですが、もしクラスメイトだったらどんな関係性だったと思いますか? 好きになっていましたか?(笑)

川村 私は、男子とは話しかけられなきゃ話さなかったから、どうだろう……。

 僕は、適度な距離感を保ちつつ、しっかり川村さんのことも観察していたとは思います。

川村 でも爪さんて、何度も学級委員長になったりしているんですよね。
私は本当に存在感を消しているタイプだったので、爪さんとは話せてなかったんじゃないかな。
私もクラスメイトのことは観察していましたけど、「あの子の先祖はカマキリだな、ミミズだな」とか、前世を当てはめたりしているだけでしたから。一人遊びは上手なんですけど、人とどうやって関わったらいいのかわからなくて悶々としていました。
爪さんは、クラスメイトにちゃんと恋もしているし、素敵じゃないですか。

 学級委員をやっていたのは女子と話す機会ができるからです。実は小学生の時には生徒会に入ってて、中学生でもよく級長をやっています。でも中学時代なんて顔がニキビだらけで肌がゴツゴツしてたから「岩委員長」って呼ばれたり。女子たちが僕のことを「ニキビさえなければねぇ……」なんて話しているのが耳に入ってきたり。
だからニキビのことはすごく気にしていて、漫画雑誌とかの後ろの方に出ている怪しい広告を見て、「クレオパトラも使っていたニキビが消えるまゆのスポンジ」とか「福建省の貴重な竹エキスが入った洗顔料」とか、貯金して買ってました。全然効かなかったけど(笑)。

川村 あー、当時は雑誌の最後とかにありましたねー、そういう広告記事! お金持ちになれるブレスレットとか。私も「幸せになれる石」を買った。
そういえば学級委員の話で思い出したんですけど、中学時代に「ジャージからわき毛が見えてる」ってある男子に指摘されたことがあったんですね。それを学級委員の女子が「川村さんのわき毛が見えていることは言わない方がいいと思います!」って学級会で言い出して。正義感からなんでしょうけど、「そっちの方がみんなに広まるだろう! やめてくれ!」って思ってました。
その時はあまりに恥ずかしくて、「私、タモリさんみたいに毛が薄くて、わ、わき毛も2本くらいしか生えないから」って、自分で自分に対してよくわからないフォローをしましたけど……。

 よかれと思って余計なことを言ったりやったりしてしまうことがあるんですよね。
今回の本の中で、僕が女の子に一番ひどいことをしたと思っているのは、中学生のとき、場面緘黙かんもく症の女子にバク転を見てもらっていたことですね。「クラスメイトには知られたくないけど、やっぱり誰かに自分のバク転を見てもらいたい」と思って、人前でうまく喋られない彼女ならクラスのみんなに絶対に言わないだろうといういやらしい計算のもとに、好きでもない男のバク転を見せ続けていたわけですから。それも青春の1ページだとは片づけられないですよね。彼女の症状を利用したとも言えるわけで、ひどいことをしたなと思ってます。

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川村エミコ

かわむら・えみこ●1979年神奈川県生まれ。お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。主な出演作品に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』、東海テレビ『スイッチ!』など。
オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/sienne04
Twitter→https://twitter.com/kawamura_emiko
YouTubeおかっぱちゃんねる川村エミコ公式動画館→https://www.youtube.com/channel/UCGkqb7PyCVGojtVkAOL58Bg

撮影:齊藤晴香

爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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