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ネイティブが密かに引くNG英語…英会話でもっとも大事なのは文法ではなく、日常的な表現や語彙を増やす努力を欠かさないこと

語彙を増やす

もう1つ重要なことは、日ごろから語彙を増やす努力を欠かさないことである。

アメリカに長く住んだことがない日本人から見ると、ネイティブなら子どもでも知っている単語を知らないことが往々にしてある。

雑談ではそんな単語が出てくることもあるが、反応が悪いとネイティブは「この人の英語は大丈夫か」と不安を抱く。

例えば、子ども時代をアメリカやイギリスで育った人は、ゲップを“burp”と言うことは誰でも知っている。

ややフォーマルな単語は“belch”であるが、“burp”は極めて日常的な言葉で、親が子どもに話すときにも“Say excuse me when you burp.”(ゲップをしたら“excuse me”と言いなさい)はよく使われる。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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赤ちゃんがゲップをすることを“burp the baby”(赤ちゃんのゲップを出させる)と言うため、乳児期から家庭内で頻繁に耳にする。

これほど超簡単な単語を知らないと、ネイティブからすると幼児でも知っている“burp”をなぜ知らないのか理解できないので、突然インタビュアーの英語力に不安を抱くだろう。

雑談では、まったく内容のない取り留めのない話をすることが多いからこそ膨大な語彙が必要となってくる。

「社会の窓が開いている」という表現を知らない日本人がいないように、“Your fly is open.”(社会の窓が開いていますよ)という表現を知らないネイティブはいない。

もしあなたがネイティブにそう言われてポカンとすれば、真っ先に英語力が疑われ、相手はこの人はインタビュアーとして大丈夫かと不安を感じるに違いない。

成田空港到着後に本人から聞いた話だが、あるテレビ取材でアメリカから帰国するときに、その番組の男性ディレクターの隣に座ったアメリカ人の若いカップルが“jet lag”について彼に聞いてきたという。

ディレクターは“jet lag”の意味がずっとわからず、成田空港着陸直前になって初めてそれが「時差ぼけ」であることに気づいたという。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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彼は「……情けない」と嘆いていたが、10時間以上もの飛行中アメリカ人カップルはなぜ“jet lag”の意味がわからないのか、理解できなかったと思う。

時差ぼけの話をしようとしているときに、“jet lag”という単語を知らないと話にならない。キーワードを知らないと話がまったく進まないが、雑談を楽しむには膨大な語彙が必要なのである。

ちなみに最もシンプルな表現で“I have jet lag.”以外では“Jetlag is killing me.”(時差ぼけがひどい)、“I’m so jet-lagged. I woke up at 2:00 a.m. this morning.”(時差ぼけがひどくて、今朝2時に目が覚めた)、“I always get bad jet lag when I travel east.”(東に移動するといつも時差ぼけがひどい)、“I got back a few days ago, but I’m still recovering from jet lag.”(数日前に帰国したが、まだ時差ぼけから回復中)というふうに使う。

エピソードをもう1つ。

これは私自身の経験であるが、コロラド州デンバーの行きつけの寿司屋で、取材を終えたあとカウンターに座って板前と話していたときのこと。

1人で食べていた隣のアメリカ人男性から、突然“May I ask what you do ?”(お仕事は何をされているのかお伺いしてもいいですか?)と話しかけられた。

ジャーナリストであると言うと、自分の職業は「エア・ハンター」と言う。

エア・ハンター? 最初ピンと来なかったが、説明を聞くとすぐにそれが“heir hunter”、つまり「heir(相続人)探し屋」であることがわかった。

“air”も“heir”も「エア」と発音するが、自分の語彙の中に“heir”がなければ、わかるまでかなり時間がかかっただろう。

亡くなった人の銀行口座に大金が残っている場合、銀行から相続人を探す依頼を受けるのだ。相続人が見つかれば、多い場合は40パーセントの報酬を受け取ると言うからインセンティブはかなり高い。

ちなみにアメリカの映画にたびたび出てくる“bounty hunter”は、犯罪者や逃亡者をつかまえることで、莫大な報奨金(bounty)を得る人のことを指す。アメリカでは禁止されている州もあるが、民間人が逃亡者を追跡し、逮捕することはほとんどの州で合法である。

さらに相手に職業を聞きたい場合、普通“What is your occupation?”という表現は使わない。これは面接や入国時、係員が相手に職業を聞くときに使う表現である。

初対面や雑談で、最もよく使われるのは“What do you do?” や“What do you do for a living?” で、丁寧に聞きたい場合、“May I ask what you do?” と言えばいい。

“What is your job?” はシンプルで直接的で、いささか子どもっぽく響く場合もある。

また、相手の業界を知りたい場合、“What line of work are you in?” と聞けばいい。教育関係の職業の場合は、簡単に“I’m in education.”と答えるだけでいい。

そこから相手にさらに具体的に聞かれたら、“I am a high school English teacher.”などと答えるといい。

とにもかくにも、ネイティブが日常的に使う表現や語彙を増やす努力は欠かせない。

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大野和基

おおの・かずもと/国際ジャーナリスト。

1955年生まれ、兵庫県西宮市出身。大阪府立北野高校卒。
東京外国語大英米学科卒業後、1979年に渡米。コーネル大学で化学、ニューヨーク医科大学で基礎医学を学んだ後、ジャーナリストの道に進む。
​以来、国際情勢の裏側や医療問題に関するリポートを発表するとともに、世界的な要人・渦中の人物への単独インタビューを次々とものにしてきた。芸能ゴシップから国際政治経済モノまで、すべてを等距離に置くことをモットーとする。
3カ月で10万部のベストセラー『コロナ後の世界』(ジャレド・ダイアモンドほか、文春新書)、『民主主義の危機』(イアン・ブレマーほか、朝日新書)などの訳書、『つながりすぎた世界の先に』(マルクス・ガブリエル)、『お金の流れで読む 日本と世界の未来』(ジム・ロジャーズ、ともにPHP新書)、『オードリー・タンが語るデジタル民主主義』 (NHK出版新書)などインタビュー・編著多数。
著書に『私の半分はどこから来たのか』(朝日新聞出版)、『日本人だけが知らない世界基準の「質問力」』 (祥伝社)などがある。
公式HP■https://www.kaz-ohno.com/

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