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春のセンバツ開幕記念! 甲子園が消えた夏、仙台育英・前キャプテンを奮い立たせた母とのLINE

入学した日から一日も欠かさず連絡する母

――お母さん、何をしているんですか?
 祥都にLINEしているんです。

――なんて打っているんですか?
 「お帰り〜」いうて。「今日の練習どうやった?」って。そんなに頻繁じゃないけど、毎朝のおはようと、夜のお帰りくらいは。それで、「今日の練習どうやった?」って聞くくらい。

――毎日ですか? 欠かさず?
 一日も欠かしたことないです。

――どういう思いで続けているんですか?
 自宅から学校に通っている子はお母さんが「いってらっしゃい」って送り出しているんでしょうけど。うちの子は寮に入っているから、ひとりで出ていく感じになるんで、「いってらっしゃい」と「お帰り」くらいは言ってやらんとと思って。短くても返事はくれます。既読スルーしたら、私がすねるのをわかっているから。

――祥都くんは仙台育英のキャプテンをしていますけど、どういう子だったんですか?
 もともと兄弟の中で、一番しっかりしているかな。めちゃ、我慢強い子。自分のことを我慢しながらでもほかの子のことをっていうのは昔からですね。

――センバツが中止になったときは?
 あの子は寮にいて、私が「残念やな」みたいなLINEを送ったら、「しょうがない」って。でも、次の日に電話してきて、向こうで泣いているかなっていう感じでしたね。何をしゃべったか覚えてないけど、私も「泣いたらあかん」と思いながら、普通に話しながらも、その話は出てきて……。あの子が、「自分よりつらい思いしとる人がいっぱいおるから、頑張る」って言ったんかな。

――親御さんにとってはどんな半年でしたか?
 やっぱり、つらかったですね。ご飯つくっていても、思い出しては泣くし……いまでも思い出したら泣くこともあるし。コロナのせいで、1カ月くらい家にいたときには、「この子、わかっているん?」ていうくらい気丈にしていて。あの子がそんなんやし、本人の前で私が泣くわけにいかへんから、隠れて……。

――どういう涙ですか? 
 小さいときからいっぱい頑張ってきたのを、一番近くで見てきました。いろんなことを我慢してきたからね。幼稚園のときに野球を始めて、お兄ちゃんたちを見て、お兄ちゃんたちと頑張って。近所のお兄ちゃんが甲子園に行って、それを見て「僕も頑張る」言うて。学校から帰ってきても、友達と遊びもせずに、ずっと野球の練習をしてきたのをそばで見てきたからね。

――甲子園交流試合の開催が決まったときは?
 私が、「1試合だけでもできてよかったな」って送ったら、「ほんま、めっちゃうれしい、絶対に頑張るから」って返事がきました。

――祥都くんが甲子園でプレーする姿を見られることが決まって、どんな気持ちになりましたか?
 うれしかったですよ。いままでのことが全部報われたというか。あの子の笑っている姿が甲子園で見られるから1試合でもしてくれるって聞いたときにはほんまにうれしかったですね。

――野球をしていたお兄さんたちが行けなかったことを考えると、どうですか?
 お兄ちゃんたちも、あの子に期待じゃないけど、あの子に夢を託すっていうのもあって、すごくうれしいと思いますよ。家族の誰が甲子園に行くかで取り合いになりそう。

――どんなプレーを見たいですか?
 笑って野球しているところが見たいですね。それだけ見られたら私は十分。

 多くを語らなくても、母の気持ちは息子に十分に通じていた。甲子園は、母や家族に恩返しする絶好の機会となった。

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