2022.10.17
異色肌ギャルメイクから考える、「そこそこ起業」が与えてくれる大切なもの
高橋さんが提唱するのは、競争せず気楽に稼ぐ「そこそこ起業」。
前回は、マウンテンバイクなどの趣味を楽しみながら稼ぐ生き方を紹介しました。
今回は、異色肌ギャルメイクで注目を集めるmiyakoさんの生き方・働き方から、「そこそこ起業」を深堀していきます。

三次元には勝てない?
「三次元には、勝てないんですよね」
同人作家であるMさんへの取材が終盤に差し掛かり、同人界隈について掘り下げたお話を聴いていた時のことでした。一言で同人誌の世界といっても、一次創作・二次創作の漫画だけが流通しているわけではありません。自主制作のフィギュアや音楽、ゲームも流通しており、中でも非常に大きなジャンルとして、「コスプレ」の世界が「売上の桁が違う」とおっしゃっていました。
確かに、ここ数年の大手メディアにおいて、コミケを始めとした同人誌即売会の記事では、コスプレイヤーさんが取り上げられるケースが目立つようになりました。有名コスプレイヤーさんが、写真週刊誌などでグラビアに登場したり、写真集が発売されたりすることも珍しいことではなくなったように思えます。漫画を読むのにはある種のリテラシーが必要で、創作でも二次創作でも読者層は限られているでしょう。それに対して写真=グラビアの場合は、そのハードルが低く、コスプレとして装われているキャラを知らなくても、被写体の美しさや魅力だけで、読者を引きつける力を持っているかもしれません。
(それにしても、桁が違うほどの差が出るものなのだろうか?)
Mさんが三次元の同人市場の動向について掘り下げて聞きつつ「果たして、桁が違うほど差が出るものなのだろうか」と思案していると、私以上に担当編集者さんが、コスプレイヤーというキーワードに何かを感じ取って、「それは凄く面白いので、別の回にどうですか?」と強く推し始めました。
確かに、同人市場の広がりを知るという意味でも、コスプレイヤーさんに取材するのは面白いかもしれません。
また、この連載ではここまで、男性しか取り上げられていません。人類の半分は女性なわけですから、「そこそこ起業」に取り組んでいる女性をここまで取り上げていないのは不自然でしょう。いろいろ幅広く、オタク的に趣味と興味を持っている私ですが、コスプレやグラビアという世界については、ほとんど「知らない」と言って良い世界です。この連載を頂いたからこそ可能な、今までにない取材ができると思い、担当編集者さんに取材先の探索をお願いしたのでした。
ほどなく、集英社内のツテを辿って取材を受けてくれるコスプレイヤーさんを見つけたとのご連絡をいただきました。担当編集者さんからのメールに記載されていたTwitterのリンクをクリックしてみて、「うぉっ!」と思わずうめきました。
一瞬、「ゴブリン」という単語が脳裏をよぎったのですが、写真全体からはファンタジーの世界というよりは、アングラとサイバーパンクの匂いが濃厚に漂っています。ポーズや表情もその世界観にあわせて計算され尽くしていた、凄い身体表現だと思いました。