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川村エミコ「わたしもかわいく生まれたかったな」

「たんぽぽ」川村エミコが、おじいちゃんの危篤の日に踊ったパンダダンス

 パンダパンとは、うろ覚えですが“パンダはデッカい夢を見た〜♪ だけど小さい夢も見る♫”というような曲に合わせて、両手を広げて飛びっきりの笑顔で踊るダンスの演目です。

「おじいちゃんが亡くなったのに(恐らく)、パンダ・ダ・パ・ヤッ!と元気に笑顔で両手広げている場合かっ!」
と思いました。口には出せませんでしたが、思いました。
 カッコで(恐らく)と書いたのは、父は実際私には、亡くなったのか危篤のままなのか、は伝えませんでした。
 でも、こうさぎ先生のご提案のように『パンダ・ダ・パ・ヤッ!』を踊って行くことになったので、きっと亡くなっていたのだと思うのです。

『パンダ・ダ・パ・ヤッ!』の曲中、両手を胸の前でグルグルしながらしゃがんだり、両手を広げてジャンプしたり、手を繋いで回ったり、しました。
 練習通り一生懸命に踊ったのを覚えています。
 練習の時は、「えみこちゃん! 笑顔! 笑顔!」とほっぺをムニュウとあげられていたのですが、さすがにおじいちゃんが死んでる状態での本番では何も言われませんでした。

 でも、今でも思うのです。
 踊って行って良かったのだろうか……と。
「パンダ・ダ・パ・ヤッ!を踊らず、おじいちゃんの所に行きたいです。」と言えば行けたのだろうか。
 こうさぎ先生は私に何を伝えたかったのだろうか、と。

「折角だから……」
 私の心に暫くコビリついた言葉。
「折角だから……」

 なんですかね、余計なお世話ですよね。
 でも、流されてしまった自分がいるのも事実です。
 どちらが正解なんてないし、どっちでも良かったんだとも思うのです。
 でも、あの時は、私の本心は踊りたくなかった。私、踊りたくなかったです!
 あー、今やっとこさ口に出せました。
 バンザーイ!!
 
「折角だから……」は、あんまり好きじゃないワードに入っていて、今でも聞くたびに、あの小学一年生の運動会での生温い秋風とこうさぎ先生の薄い笑顔と父のぺこぺこした姿が思い浮かび、心が地味に湿り出します。あの時のもやもやが出てきます。
 そんな事に引っかかったまま、まだ生きています。
 自分に対しての「折角だから……」はアリだけど、他人に対しての「折角だから……」は使わないように気をつけております。おわり。

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川村エミコ

かわむら・えみこ●1979年神奈川県生まれ。お笑いコンビ『たんぽぽ』のボケ担当。主な出演作品に日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』、フジテレビ『めちゃ2イケてるッ!』、東海テレビ『スイッチ!』など。
オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/sienne04
Twitter→https://twitter.com/kawamura_emiko
YouTubeおかっぱちゃんねる川村エミコ公式動画館→https://www.youtube.com/channel/UCGkqb7PyCVGojtVkAOL58Bg

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