2019.12.11
Jの盛衰
言葉のあとさき 第1回

近所の区立小学校では毎年、6年生向けに職業意識を涵養する授業を行っています。子供達が興味を持っている職業に就いている大人を集め、子供達と仕事についての話をする、という企画なのです。
少数ながらも物書きという仕事に興味を持つという殊勝なお子さんがいるらしく、近所の奥さんからスカウトされて、その授業に毎年参加している私。当日は、近所の駅の駅長さん、近所の警察署の警察官、パン屋さんに美容師さん‥‥と、ご近所さんやその小学校の卒業生から色々な職業につく人達がかき集められます。芸能プロダクションの社長や、プロ野球選手(ヤクルトスワローズ)、Jリーガー(FC東京)といった華やかなメンバーも来るので、子供達にとっては楽しい時間かと思われる。
授業当日は、体育館に占い師のブースのようなものを作って我々講師が座り、子供達と話すのですが、
「エッセイって何ですか」
とか、
「生活していけるくらいは儲かるんですか?」
など色々と聞かれて、こちらも楽しいこの時間。来てくれた子供達には、サービスとして「上手な作文の書き方」を教えるようにしています。
もちろん、真剣に物書きになりたいと思っている子は、ごく稀なのでしょう。私のところにやってくるのは、「ちょっと読書好き」くらいの子が多く、
「で、将来は何になりたいの?」
と聞いてみると、
「お医者さん」
とか、
「パティシエ」
とか、様々なのです。
そんな中、
「ユーチューバーになりたい」
という子が数年前に登場した時、私は驚いたものでした。今でこそユーチューバーは、子供達が憧れる職業として有名になっていますが、当時は「あれって職業なのか?」という意識が私の中にあったから。
IT系の職業に就く人としてはゲームのプログラマーがやってくるくらいで、その授業には、未だユーチューバーは講師として登場していません。もしかすると、先生達の教育的配慮によって、ユーチューバーのようにまだ評価が定まらない新興職業の人は、除外されているのかも。
ユーチューバーやらインフルエンサーやらは、ここ数年で注目されるようになった職業というか、肩書きです。最初は意味がわからなかったものの、自分も誰かのSNSを見ていて、そこに出ていた何かをつい買ったりすることがあり、
「これがインフルエンス!」
と、驚いたものでした。