2019.6.19
令和になっても大ペット時代!6月12日に成立した「動物愛護管理法」はどうなった?
本連載の初回で紹介した改正ポイントのその後
この連載の初回で紹介した改正の声が上がっていたポイントと、実際に改正された内容を較べていきましょう。
(1) 生後7週齢以下から生後8週齢(56日)以下に販売規制を施行する
→改正後:生後8週齢(56日)以下の犬猫の販売を制限する
子犬・子猫は7週齢(49日)を過ぎれば販売可能な状態でしたが、今回の改正で8週齢(56日)以下は禁止となりました(ただし日本犬6犬種を除外)。
(2)飼い主に適正飼養を義務付ける
→改正後:飼い主が守るべき責務規定を明確にする
動物の飼い主が守るべき責任を明確にしました。ペットが一生を終えるまで世話をすることが努力義務となっているのはそのままです。努力するよう義務付けるとあいまいな表現ですが、「がんばらなければいけません!」ということでしょう。
(3)第一種動物取扱業を免許制にする
→改正後:第一種動物取扱業による適正飼養などを促進する
第一種動物取扱業(ブリーダーやペットショップなど)は登録制のまま変わりませんが、動物の繁殖や世話を適正に行うように定められました。遵守基準を具体的にすることで、適正飼養を進める目的があります。
(4)アニマルポリスを設置する
→改正後:動物虐待に対する罰則を引き上げる
アニマルポリスの設置には至りませんでしたが、動物を殺傷した場合「2年以下の懲役または200万円以下の罰金」だった罰則が、「5年以下の懲役または500万円以下の罰金」に引き上げられました。環境省による「動物の虐待事例等調査報告書」では、動物虐待などで起訴された人が平成元年は3人でしたが、平成29年には38人まで増えています。
(5)災害時はペット同行避難とする
→改正後:特に言及なし
今回は言及されていないため、ペット同行避難を推奨するという現状維持と考えられます。災害時は自治体を含め多くの人が被災するため、これからも飼い主責任で考えることが重要ですね。
動物への配慮を言葉にすると法律になる
日本は神道の影響ですべてのものに霊が宿ると考え、自然と共生してきました。「アニミズム」の考えが根付いているのですね。欧米はキリスト教の影響で人がすべてを支配すると考えます。だからこそ欧米では人が万物の長として責任を持ち、動物を良い状態で管理しようという動きにもつながるのでしょう。
日本は動物を愛でる文化が根付いていることから、動物といえば犬猫などのペットが中心になりがちで、薬の開発に欠かせない実験動物や食材となる畜産動物の法整備は進んでいません。その一方、生き物を供養する風習があり、魚や虫の供養塔もあります。祟りへの恐れだけでなく、感謝の気持ちが込められているのではないでしょうか。動物愛護管理法は、生き物に対する配慮や感情を言葉にすることなのかもしれません。
今回で最終回となる「ペット2.0」ではペットが人間社会を映す鏡と考え、動物を通してさまざまなテーマを取り上げてきました。読んでくださった方が一歩踏み込んで考えるきっかけになれば幸いです!
※本連載は今回で終了となります。ご愛読、ありがとうございました!