よみタイ

鈴木涼美「○○○な女~オンナはそれを我慢している」
よみタイでの大好評連載「アラサー女がそんなことで喜ぶと思うなよ」(書籍好評発売中)を終えた鈴木涼美の次なるフェーズは、オンナ目線の女性論。ふと見渡せば、耳に目につく、いろんなタイプ・○○○な女たち。女の敵は女じゃないけど、ちょっとどうなの、それでいいの、な現代女性像を浮き彫りに。

俺ぁこんな村嫌だ女 〜イタさを恐れない田舎モンは強いという話

人生のキャバクラ歴を合計すると7年近くなる私は現役時代、全くカリスマキャバ嬢感はなく、店に時給を下げられつつも、それを気にしていない風に「私は売り上げとか興味ないしぃ」というふりをして、同伴はせず気乗りするアフターばかり行って、全然上位にランクインとかしてないのに歴が長いというのと性格が偉そうだという理由だけで、ちょっと後輩に怖いとか思われるタイプの、辞めても割と誰も困らないタイプの嬢だった。

要するに、酒を飲むのも男をイジるのも嫌いじゃないから仕事は苦ではないものの、あんまり売れてなかった。

売り上げがパッとしないキャバ嬢には2タイプしかいない

そういう人間には例えそこそこ長いキャバクラ人生を送ったところで、これといって誇るべきことはないが、唯一経験として価値があるのは、多様なタイプのキャバ嬢を、ガッチガチのライバルとか蹴落とす対象とか、そういう深い当事者的立場ではなく色々観察できたことだ。
いかんせん私はキャバ嬢としてのプロ意識やこの店を一緒に作っていくというような仲間意識が著しく希薄だったため、売れているキャバ嬢の傾向や美人なのにパッとしない嬢の特徴などを、そんなに色眼鏡なく見ていたし、その辺り、そこそこ詳しいと思う。

売れっ子キャバ嬢の類型は色々あるのだけど、超売れっ子キャバ嬢となるとそんなにいくつも種類があるわけではなく、見た目やら年齢やら髪型やらがバラバラでも、結構共通点が多い。
大きな愛情や大きな金額や大きな借りに対する恐怖心がないことや、値段や謳い文句などに見合わないことに対して自虐的でないこと、相手が報われないことに対して罪悪感がないことなどなど。
で、容姿やスタイルに問題がなくむしろ恵まれているのに売り上げがパッとしない子というのは基本的に2タイプしかいない。

やる気がないか、品があるか。

やる気がない嬢が売れないのは仕方ない
やる気がない嬢が売れないのは仕方ない

やる気がないというのは欲もないので、キャバ嬢としてのし上がりたいと強く思ってもいないし、売り上げランキングに本当にあまり興味がないし、あの店のナンバーワンだよと言われることにも全く心踊るような憧れがない。
いかに余裕ぶるかというところに結構な人気の秘訣があるホストと違って、キャバ嬢に関して言えば、ガツガツとしたやる気とそれに見合う努力がなければ売れないのだ。

何故なら、どんなにお勉強が苦手でも、人の心の裏の裏を読もうとする女性客に比べて、表面的な心地よさを深く追求しない男性客は、基本的に「すごーい!!」とか「ステキー!!」とか言ってくれないやる気のないキャバ嬢が嫌いだから。

で、やる気がないわけでも仕事をなめ腐っているわけでもないのに何故か弾けないという場合、本人が意識しているかどうかは別として、「品」に邪魔されていることが多いのだ。要するに、人を押しのけてまで指名をとりにいくのは品がないとか、高いものをねだるのは品がないとか、汚いことしてまでのし上がるのは品がないとか、露骨に売れようとするのは品がないとか、そんな風にちょっとでも思っている子は、器用さでそこそこの指名が取れたとしても、頂点まで上り詰めることはない。

そして、そのような品を持ってしまったが故に燻っているのは、圧倒的に東京や横浜の女が多い。

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鈴木涼美

すずき・すずみ●1983年東京都生まれ。作家、社会学者。慶應義塾大学環境情報学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府の修士課程修了。大学在学中からキャバクラ嬢として働きだし、20歳でAVデビュー、出演作は80本以上に及ぶ。2009年から日本経済新聞社に勤め、記者となるが、2014年に自主退職。女性、恋愛、セックスに関するエッセイやコラムを多数執筆。
公式Twitter → https://twitter.com/suzumixxx

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