よみタイ

せきしろ「東京落物百景」
落とし物の数だけ、物語がある――落とされたモノにも、そして落とした人にも。
『去年ルノアールで』『たとえる技術』などの著作で知られる作家せきしろが、東京の街の片隅で、本当に見つけたさまざまな落とし物について考える妄想ノンフィクション。

前回はなつかしいVHSのビデオテープの落とし物から、なぜか織田裕二主演映画のことばかり考えてしまった著者。
今回は子どもたちの宝探しの宝物かもしれない落とし物を多数、発見したようで――

ウルトラマンのフィギュアの落とし物は「宝探し」の宝物かもしれない

誰もが一度はやったことがある『宝探しゲーム』

子どもの頃に憧れたものはいくつもあった。

例えば恐竜の化石を見つけることに憧れたり、21世紀という未来に憧れたり、ツリーハウスに憧れたり、単純に足の速さに憧れたり。それは日々増え、更新されていった。

その中のひとつに『宝探し』があった。漫画や映画で見たシーンのようにどこかに宝箱があって、それを開けると宝物が入っている。もちろんその過程の冒険にも憧れた。
その思いが『宝探しゲーム』という遊びを作りあげた。与えられたヒントからどこかに隠された宝を探すというものだ。きっと昔からそして世界中にある子ども心をくすぐりまくる遊びであるから、誰もが一度はやったことがあると思われる。

その遊びは友達同士で行う時もあったし、親や先生がヒントを作ってくれる時もあった。ヒントは簡素な地図であったり、暗号っぽいものであったりした。意味不明な文章にタヌキの絵が添えてあって「た」の文字を抜いて読むものや、「庭の木から東に10歩」みたいなのもあった。それらがあぶり出しになっている時もあった。
やがて成長すると私がヒントを作って、弟が探すようになった。今人気の『謎解き』に通ずるものがあった気もする。
そうやって遊んでいるうちに雑木林や河原で偶然エロ本を見つけるようになるのだが、それはまた別の話だ。

宝物は何だったのかはっきりと覚えていない。小さい頃はコカコーラの王冠にスーパーカーの絵が描いてあってそれのコレクションが流行っていたので王冠だった気がするし、もう少し大きくなるとガチャガチャの消しゴムが入っていた気もする。牛乳の蓋だった記憶もある。いずれにせよ子どもにとってはどれも宝物だった。

道を歩いていると、何かが落ちていることがよくある。そしてそれを見るたびに「なぜここに?」とか「なぜこんなものが?」と思う。

もしかするとこの落ちている物は宝探しゲームの宝物かもしれない。そんなことを考えてみる。今から子どもたちがヒントを片手にここに辿り着くかもしれない、と。

例えば落ちているウルトラマンの人形。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その1。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その1。(写真/ダーシマ)

いつの時代も子どもはヒーローが大好きだ。これが宝探しのゴールにあったならかなり喜ぶに違いない。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その2。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その2。(写真/ダーシマ)

子どもはカード類も大好きだ。めんこ、◯◯チップスのカード、トレカ……。もちろんこのカードにもテンションが上がるだろう。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その3。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その3。(写真/ダーシマ)

これはもうかなりの宝物だ。狂喜乱舞するに違いない。その姿が見たくて早く探しに来ないかなと思ってしまうほどに。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その4。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その4。(写真/ダーシマ)

子どもはプラモデルも大好きだ。しかし残念ながらこれはランナーのみ。ヒントを手掛かりにやっとたどり着いたのにこれ……。子どもがガッカリする顔が目に浮かぶ。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その5。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その5。(写真/ダーシマ)

めかぶはみょうがや大葉同様大人が食べるものだ。苦労して探し当てた宝物がめかぶ。子どもはまったくうれしくないはずだ。

都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その6。(写真/ダーシマ)
都内で発見した「宝探し」の宝物かもしれない落とし物、その6。(写真/ダーシマ)

苦味とクセのある野菜である。これも子どもはガッカリだ。ただ、いつの日かこういう味ではないとダメになる日がくることも知らずに……。

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せきしろ

せきしろ●1970年北海道生まれ。主な著書に、映像化された『去年ルノアールで』や、映画化された『海辺の週刊大衆』、『1990年、何もないと思っていた私にハガキがあった』(共に双葉社)など。また、又吉直樹氏との共著『カキフライが無いなら来なかった』『まさかジープで来るとは』(幻冬舎)、西加奈子氏との共著『ダイオウイカは知らないでしょう』(マガジンハウス)も。
ツイッターhttps://twitter.com/sekishiro

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