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共同親権法が成立【逃げる技術!第16回】でも問題が山盛り!

DVから子連れで逃げた編集者の藤井セイラさんが「安心・安全・HAPPYなDV避難」を描くエッセイ。モラハラって何? どこに相談する? 親にどう話す? お金は? 「離婚だって結婚情報誌みたいに明るく語りたい!」と、体験談&Tipsをつづります。

イラスト/藤井セイラ 監修/太田啓子弁護士(湘南合同法律事務所)

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「連れ去り」「実子誘拐」という言葉を使う共同親権運動

2024年5月17日、参議院にて、多くの問題を懸念する声を押し切って採決がなされ、共同親権法案が成立しました。4月に衆議院の法務委員会で審議に入って議論が紛糾しましたが、10日ほどの質疑で4月16日にスピーディに可決。多くの団体から反対の声明が出ていましたが、ゴールデンウィーク明けに参院にかかって成立となりました。

この離婚後共同親権は10年以上も前に原型ができたもので、強く推進する一部の国会議員がおり、これを導入しようという共同親権運動がつづいてきました。

共同親権運動の中では、「連れ去り勝ち」「虚偽DV」といった言葉もよく聞かれます。かつては「妻子(夫と子の場合もあります)が出ていってしまった」と呼んでいた出来事を、主従をひっくり返し「連れ去られた」「実子誘拐だ」と被害者的に表現しているのです。

一部に、強引な連れ去りだと見受けられる事件があるのも事実ですが、DV加害者が、自身のDVが原因でパートナーと子どもが逃げたことを認めずに「誘拐被害者」を自称することもめずらしくないことを、離婚事案を多く扱う弁護士たちが指摘しています。

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ずさんな法案のため、まさかこのまま成立はないだろう、と思っていた

一方で、3年以上も前から「万が一、これが導入されると危険だ」と強く警鐘を鳴らす人達もいました。それは主に離婚事案を扱う弁護士、また、DVや虐待の当事者と接する心理職や福祉職の方々です。

「万が一」というのは、さすがにこのまま導入はされないだろうと思うほどに、法案がめちゃくちゃな内容だったからです。すでにある他の法律や制度との整合性がなくては、運用する上で不都合が生じますが、共同親権はその点、非常にずさんな法案でした。

ですから「共同親権はあぶない」といってきた人でも、「さすがにこの状態では通らないだろう」と、2023年秋くらいまでは考えていたのではないか、と思います。わたし自身もそのようにたかをくくっていました。

新聞やテレビでほとんど報道されなかったのもよくなかったでしょう。共同親権のリスクについて報じると苦情の電話が非常に多くくるため、自主規制をして控えたメディアもあったと聞きます。反対に、共同親権について肯定的に報じるとお礼の電話がたくさんきたのだそうです。

結局、法案成立が確定的になった2024年4月後半から報道が急に増えましたが、これでは、市民にとって十分に知り、考え、意見を表明する時間があったとはいえません。

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藤井セイラ

編集者、エッセイスト。2児の母。東京大学文学部卒業後、広告・出版を経てフリーに。子育てに関連する勉強が好きで、気がつけば、保育士、学芸員、幼保英検1級、絵本専門士、小学校英語指導者資格、日本語教師、ファイナンシャルプランナー2級など、さまざまな資格を取得。趣味はマンガとボードゲーム。苦手なものはお寿司。最近、映画館で観たのはプリキュア。

X(ツイッター) @cobta https://twitter.com/cobta

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