2024.5.20
加害と依存【逃げる技術!第15回】ギャンブル依存症と似ている?
イラスト/藤井セイラ 監修/太田啓子弁護士(湘南合同法律事務所)
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結婚生活を続ける理由を、心の中で言い訳しつづけていた
前回、同居中は夫が子ども達の習い事をすべて決めていて、子どもにはチックや嘔吐などの症状が出ていた、という話を書きました。
「教育虐待」といってもいいような状態だったのです。大変なスケジュールの習い事を、身支度をさせ、嫌がる子ども達をなだめすかして無理やり連れていくのはわたしの役目でした。雨でも雷でも休ませることは許されません。電車で通う遠方の教室もありました。
そんな生活が楽しいわけはありません。それでもわたしはこの結婚生活をなんとか肯定しようと、日々、自分への嘘を心の中でくりかえしていました。
「子どものために、わたしのことを叱っているのだ」
「この人はいじめっ子タイプで、誰かを攻撃していないと心の落ち着かない人なのだ」
「家でいばらないと、仕事ががんばれないのだ」
「毎日会社に行ってお金を稼いでいるのだから、わたしよりも偉いのだ」など。
でも、いま思えばめちゃくちゃな論理ですよね。他人をいじめていないと気が済まないなんて、おかしいんです。
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「お前はおかしい」「迷惑だ」と精神科にいくように勧める
夫は口癖のようにわたしのことを「アスペ」「コミュ障」などと呼び、「ウツウツされると迷惑だから精神科にいけ」と命じて、わたしはそれに従いしました。
ただ、家を出てから約1年がたち、実は治療やカウンセリング、もしくは価値観の修正が必要だったのは夫のほうだったのでは? といまのわたしは思います。現実を受け入れられず、家族から離れられてしまった「かわいそうな人」なのかもしれません。
なお、のちにSNSで知りましたが、DV加害者が「被害者の精神状態がおかしい」と、病院にいかせることは珍しくないことのようです。夫は家庭裁判所に対して、妻は発達障害であるとか、双極性障害であるとか、下っていない診断名を複数挙げて説明していました。いかにわたしのメンタルが不安定で判断力に欠ける人間か、ということを訴えたかったのでしょう。
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