2024.2.5
子どもの手を引き、高台へ【逃げる技術!第8回 防災編① 】津波から逃げる
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家族バラバラにでも、逃げる
家の玄関を出ると、母から「車に乗る?」と聞かれました。しかし東日本大震災のときに道が渋滞したという話が頭をよぎったこと、自動車だと少しだけ遠回りになること、またチャイルドシートの着用に時間を取られるのが嫌だったので、「走るわ!」といって、8歳を自分の前に走らせ、5歳の手は引いて、高台の上まで走りました。
両親はしっかりしており、二人だけで逃げることができますから、家族全員そろって逃げる必要はありません。わたしは子ども二人を連れていく必要があります。とにかく準備のできた人からスタートしました。「津波てんでんこ」 という東北の言葉を東日本大震災のあとで聞きましたが、後日落ち着いてから、ああ、あれはこういう意味だったのだ、と実感しました。
津波警報が出たら、「津波てんでんこ」の精神で、準備のできた人から逃げる。
その後、子ども達と徒歩で高さ20メートル弱までのぼったところで、両親の車と合流しました。そこからは乗せてもらって、高さ30メートル超の地点まで移動しました。本震が16時10分、津波警報発令が16時12分、避難完了までおそらく5分弱だったと思います。
というのは、スマホで改めて確認すると、少し気持ちが落ち着いて、東京にいるきょうだいに報告のLINEメッセージを送った時刻が16時18分だったからです。他にも次々と車がのぼってきて6〜7台がそのあたりに止まっていました。
あとでGoogleマップで調べると、避難した場所までは、自宅から距離にして750メートルでした(高低差含まず)。これまでは高低差ばかり意識していたのですが、今回の津波が石川の早かった地点では約1分後、富山では約4分後に沿岸部まで到達していたということを聞いて、今後は避難先まで、歩くと何分かかるのか、車だと何分かかるのかといったことも知っておいたほうがよい、と思いました。
自宅、実家、また会社や学校など普段よくいく場所の「海抜」を知っていますか? また、その場所からいち早くいける高台がどこなのか、自治体のハザードマップで確認を。
今回は、津波警報を受けて逃げたことについて書きました。次回は、防災のために普段の荷物に入れておいて役立ったものなどについてご紹介したいと思います。
最後になりますが、一刻も早く被災された方の生活が復旧されますようお祈り申し上げます。
当連載は毎月第1、第3月曜更新です。次回は2月19日(月)公開予定です。
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