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ミスをしたら、まず心からの謝罪を! 第16回 It’s my bad.

ヴァイオリニストとして活躍しながら、ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業した廣津留すみれさん。
ハーバード大学卒業、ジュリアード音楽院修了という華々しい経歴ながらも、渡米したてのころは、非ネイティブとして英語で苦戦したそうです。
そんな廣津留さんが、アメリカでの暮らしで学んだ実践的な英会話フレーズを紹介。
「これってネイティブスピーカーはなんて言うの?」を、噛み砕いて説明します。

ごめん、やってしまった! 私のせいです。誰にもミスはありますが、自分の間違いだと言い出すのはどんなときでも勇気がいるもの。カジュアルにも、ビジネスでも。少しでも伝えやすくするための謝罪フレーズをご紹介します。

――

アメリカ人はちょっとやそっとでは謝らない、とはよく聞くお話。たしかに、謝ることは自分の過ちを認めてしまうことになるので、契約が重要かつ訴訟社会であるアメリカでは謝罪の言葉を頻繁に聞くことはありません。一度自分の過失を認めてしまったが最後、責任を取らされることになってしまうからです。ただ当然ながら、謝ることがないわけではなく、謝るべきときと思うシチュエーションが文化的に違うというのが事実。

日本では少し何か間違えただけでも「ごめん」「すみません」と反射的に言うことが多く、特に悪いことをされたとも思っていないのに、ちょっとしたことで「ごめんなさい」「失礼いたしました」と言われることもあります。

私は日本の文化の方が長いので、最初は小さなミスや失礼があるごとに日本語の感覚で「すみません」を “I’m sorry.” と伝えていたのですが、“Don’t apologize!”(そんなことで謝らないで!)と言われることが増え、それ以来は本当に謝るべきなのか考えるようになりました。郷に入っては郷に従え、ではありませんが、やはり文化に合った言葉遣いをしたかったからです。

例えば狭い道で自分が通りたいから避けてもらうときは、 “Excuse me.”(失礼します)の方が適切だったり、謝罪するほどのことでなければ “my bad”(悪かった)で十分であったり。相手との関係性などによって“I’m sorry.”を使わなくても良いシチュエーションがあることを学んだのです。
そうは言っても、ビジネスの場でつい自分がやってしまった間違いや、友人とのケンカで明らかにこちらに非がある際には潔く認めて謝ることが大切です。そのときはしっかり “I’m sorry.”と告げれば相手もわかってくれるはず。

ちなみに、アルゼンチン人の音楽仲間に「ごめんなさい」ってスペイン語でなんて言うの? と聞いたら、「アルゼンチン人はほぼ謝らないよ(笑)」と冗談を言われたこともありました。すぐ謝るか謝らないかには文化の違いが大きいようで、もし海外の方に会う機会があったら、どっちのタイプかリサーチしてみるのも面白いかもしれません。

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新刊紹介

廣津留すみれ

ヴァイオリニスト。大分市出身。12歳で九州交響楽団と共演、高校在学中にニューヨーク・カーネギーホールにてソロデビュー。ハーバード大学(学士課程)卒業、ジュリアード音楽院(修士課程)修了。ニューヨークで音楽コンサルティング会社を起業。現在は成蹊大学客員講師、国際教養大学特任准教授の他、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)のコメンテーターも務める。

著書に『ハーバード・ジュリアードを 首席卒業した私の 「超・独学術」』『私がハーバードで学んだ世界最高の「考える力」』『新・世界の常識 複雑化する時代を生き抜く54の思考と言動』、翻訳書に「イツァーク ヴァイオリンを愛した少年」(トレーシー・ニューマン文/アビゲイル・ハルピン絵)がある。。2022年にデビューCD『メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲+シャコンヌ』をリリース。

近影©Brandon Ilaw

公式サイト https://sumirehirotsuru.com/
インスタグラム @sumire_vln

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