2024.1.27
【中村憲剛×町田瑠唯対談 後編】勝つチームとは日常の基準が高く、やっていない人が浮く組織である
Jリーグの川崎フロンターレでプロ生活を貫いた中村憲剛さんと、同じく川崎市を活動拠点に置くWリーグの富士通レッドウェーブでプレーする町田選手。2人が考える強いチームとは、そのなかで果たしていくべき役割とは――。
(取材・構成/二宮寿朗 撮影/熊谷 貫)
前編:バスケとサッカー、稀代の司令塔が「見ている世界」と「見えている世界」
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「日常の基準」を全員で上げていけるのが優勝するチーム
中村
Wリーグはシーズン真っ最中で、2月8日からハンガリーで開催されるパリオリンピック世界最終予選も控えています。今の町田選手の目標を教えてください。
町田
もちろん最終予選に勝ってパリオリンピックに出場し、前回の東京の銀メダルを超える金メダルを目指したいと思っています。ただ、同時に複数の目標を持つことが苦手なので、富士通レッドウェーブで活動している今現在はこのチームで優勝することが一番の目標です。
中村
Wリーグでは2007~08年シーズンで優勝して以来、タイトルに手が届いていません。21~22年シーズンもそうですがプレーオフ、ファイナルまで行くけど、最後勝ち切れていない。レッドウェーブと同じ川崎に拠点を置く、僕がプレーしたフロンターレも2017年にJ1王者となるまでは2位続きでカップ戦も準優勝止まりでシルバーコレクターと揶揄されていました。
町田
タイトルを獲れていないことはチームの課題になっています。
中村
そのために何が必要なのか、町田選手はどんなふうに考えていますか?
町田
もちろん必要なことはたくさんあると思います。一つ言えば、日々の練習の積み重ねが試合内容につながるので、1日1日の練習をどれだけ濃く、ハードにやれるかでしょうか。どうしても緩くなってしまったり、今日はあんまり良くないと感じたりする日もあるので。タイトルを獲るチームになるには、いい練習を積み重ねていくことこそ大事じゃないかと感じています。実際、憲剛さんがいたフロンターレはどうやってタイトルを獲ることのできるチームになっていったのですか?
中村
町田選手が言ったように日常のところ、つまり練習はとにかく大事にしていました。日常の基準を上げていくことが結果的にはタイトルへの一番の近道だと思います。それは2017年に初優勝して初めて確認できたこと。フロンターレはリーグ戦、カップ戦含めて2位が8回もあったんですよ。そんなに勝てませんかっていうくらい(苦笑)。だから何が足りないんだろうって自分でも凄く考え続けていました。結局は日々の練習での強度、量、質、雰囲気……要はやっていない選手が浮くような場所にしなきゃいけない、と。ちゃんとチームでやろうと決めて、しっかりやっている選手が浮いちゃいけない。そこはもう明確に意識しましたね。
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