2022.11.12
【中村憲剛×黒川伊保子対談 後編】もっとも難しい思春期年代の指導にこそ、“思春期脳”の知見を活用すべき
「家族を甘えられる場所にしたら、外では戦えるだろう」という教育方針
黒川
たしか息子さんはタオルの置きっぱなしとか、この「ぱなし」があるタイプなんですよね?
中村
基本、置きっぱなしです(笑)。
黒川
そういうタイプのうほうが、むしろ不測の事態に強いんですよ。逆に、いろいろ気がついて、動ける子のほうが投げ出しやすい。
中村
僕、まさに先に動いちゃうタイプです。確かに思春期にある中1のときに一度自分に絶望してサッカーを辞めたことがあるんです。
黒川
段取り上手でスピーディーに物事の本質を見抜くのが早い分、あきらめも早い。でも憲剛さんは結局、サッカーを辞めなかったということでしょ?
中村
はい。当時は身長が小さくて、それが嫌で。でも、小さくてもどうやってプレーすればいいかという思考に変換して、辞めた期間でサッカーに対する愛情を再確認できました。半年間くらいサッカーをしてなかったんですけど、その時期があったから、40歳までプロでサッカーを続けられるベースができたんじゃないのかなって思います。
黒川
憲剛さんと息子さんはまたちょっと違うタイプなのかもしれませんね。温かく見守ってあげてください(笑)。
中村
心に刻みます。ちなみに、黒川さんの息子さんは「ぱなし」があったんですか?
黒川
もちろん! よく、どこかに「置きっぱなし」なタイプでもあります。ミステリー本の下巻をなくしちゃったとか。そういうときはネットでポチっと買っちゃいます。
中村
えっ! 買っちゃうんですか!
黒川
はい。我が家にはCDとか本とか失くすと、もう1回買ってもいいっていうルールがあるんです。たとえば、ザ・クロマニヨンズのCDを失くしたときも、「甲本ヒロトに著作権料が入るからいいや」と思って1枚買っちゃう(笑)。まあ、甘やかしルールですよね。というのも、「家族を甘えられる場所にしたら、外では戦えるだろう」というのが私の教育方針だったんです
中村
名言いただきました!(笑)
黒川
もちろん、家で厳しく育てられても外で戦えるタイプっているんですけど、でも脳の働きから言えば、どこかで自分を肯定してくれる、欠点まで認めてくれるというものがあるほうが、外で戦えます。
中村
だから僕も『思春期のトリセツ』を読んだ今は、あまり言わなくなりました。
記事が続きます