よみタイ

パンツを穿いた土偶とDNA

 土偶はこれからどうやって生きていけばいいのかと考えた。はにのほうがしゅっとしてスタイルがいい。その点、土偶はどっしりとしていて迫力がある。下半身に重心があるのが、私との共通点のようだ。土偶は人の形ではなく、植物や貝の形を模しているという本も読んだけれど、ずんぐりしているのには変わりはない。土偶のモデルは何であれ、土偶なりに生きていくしかないのである。
 そして体型をカバーするための、着衣がとても大事なのも再認識した。和服は形が同じなので、色や柄でカバーするしかないが、洋服はやはりデザインが大切なのだ。しかしいくらがんばったとしても、土偶はバービー人形にはならない。真っ裸で外を歩くわけでもないし、自分は土偶という意識を持ちつつ、堂々と生きていけばいいのだ。
 私の知人のなかには、容姿をとても気にする人もいる。そういう人たちは、もとからスタイルがよくて美人が多い。母親のスタイルのよさを、まったく受け継がなかった私は、体型の変化があっても、失うものが何もなかった。もちろん二十代から中年、そして高年になると、現実を目の当たりにして、
「あらー」
 とびっくりはしたが、まあ自然の成り行きだから仕方がないで済ませてきた。努力もしなかった。その結果、二十歳の頃と比べて、体重は一~二キロしか増えていないのに、遮光器土偶に至った。重力のすごさを痛感するしかないのだが、何もしなかった自分に後悔はしていない。

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おネコさま御一行 れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』『今日は、これをしました』『スマホになじんでおりません』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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