よみタイ

群ようこ「今日は、これをしました」
物を減らす、無駄なことはしない、必要以上に買わない。
「しない。」生活のなかだからこそ、手に入れるもの、するべきことは
試行錯誤を繰り返し、日々吟味している群ようこ氏。
そんな著者の「しました、食べました、読みました、聴きました、着ました」
など、日常で「したこと」をめぐるエッセイです。


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引っ越しを控え、不用品整理をする

今日は、これをしました 第19回

 引っ越しを控え、仕事、梱包、掃除の日々を送っている。二十七年ぶりの引っ越しなので、その間に溜まりに溜まったものを、整理し処分し続けていたのも山を越した。
数年ほど前に、不用品処分のトラックを、友だちと頼んだことがあった。そのとき、空いているトラックがなかったからと、業者さんが三トントラックで来てくれたのだが、それを見た私たちは、
「あんなに大きなトラックで来てくれたけれど、きっとすかすかよね」
 などといっていた。ところが不要品を積んでみたら、荷台がぎっちぎちになってしまい、二人で顔を見合わせてぎょっとしたのだった。
 この不用品処分がなかったら、もっと大変なことになっていたと思う。そのときは比較的小さな家具や、電化製品、本以外のこまかいものを処分してもらい、押し入れや天袋の中のものも持っていってもらったのは、とても助かった。押し入れはともかく、天袋に入ったものを、前期高齢者の私がひっぱり出すのは、相当に辛かったに違いないと感じたからである。
 今住んでいるマンションには、共有の大きなゴミ箱があるのだけれど、あるときゴミ箱が袋でいっぱいになっていた。別の部屋の人が引っ越しをするのかなと思っていたら、そんな気配はなかった。しかしそれ以降、毎月、同様の状態になった。そのとき、はじめて、「ああ、このお宅は定期的に不要品の処分をしているのだ」
 とわかったのである。
「私も昔から、こういう習慣があればなあ」
 と悔やんでも遅く、それを怠った結果、何年分、それどころか何十年分もまとめて、処分しなくてはならないはめになっていたのだった。
 不要品処分の一回目に必要だと思ったものが、いま部屋のなかに残っているわけで、もちろん絶対量も以前よりは減っている。しかし二回目の不要品整理も大変だった。まず前にはやらなかった本に手をつけて、とにかく処分できるものは手放した。バザーに寄付したものもあれば、古くて変色してしまい、行き場が見つからない本は、資源ゴミに出した。いつか書きたいと思って溜めておいた人物の資料もすべて捨て、結局、新居に持っていく本は、両手で抱えられる程度の大きさの段ボール箱、十三箱分になった。
 本さえ片付けばあとは何とかなるので、梱包が終わってほっとしたのだが、日常で使うものって、こんなにあったのかと呆れるほどものがある。ストック品も多い。次に住む場所も、店まで行くのに一時間かかるというような場所ではないので、ストックは必要ない。とはいえ現在あるものは捨てるわけにはいかないので、持っていくしかない。今後、すべて使い切ったら、防災用品以外のストックを持たないと、固く心に誓った。
 

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群ようこ

むれ・ようこ●1954年東京都生まれ。日本大学藝術学部卒業。広告会社などを経て、78年「本の雑誌社」入社。84年にエッセイ『午前零時の玄米パン』で作家としてデビューし、同年に専業作家となる。小説に『無印結婚物語』などの<無印>シリーズ、『散歩するネコ れんげ荘物語』『おたがいさま れんげ荘物語』などの<れんげ荘>シリーズ、『今日もお疲れさま パンとスープとネコ日和』などの<パンとスープとネコ日和>シリーズの他、『かもめ食堂』『また明日』、エッセイに『ゆるい生活』『欲と収納』『よれよれ肉体百科』『還暦着物日記』『この先には、何がある?』『じじばばのるつぼ』『きものが着たい』『たべる生活』『これで暮らす』『小福ときどき災難』、評伝に『贅沢貧乏のマリア』『妖精と妖怪のあいだ 評伝・平林たい子』など著書多数。

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