よみタイ

39歳独身女性がセフレとの別れで感じた「どうしようもない寂しさ」

突然訪れたセラピストとの別れ

 しかし、セラピストとの夢のような逢瀬も長くは続かなかった。

「6回ほど会った後、セラピストのTwitterの更新が止まりがちになったんです。最後は会う予定を立てていたのに、直前でドタキャンされた。なんか変だなと思いました。その後、DMを送ってみたんですが、いきなり「『もう辞めたから会えない、ごめんね』って返事が返ってきたんです。めちゃくちゃショックでした。会った時は辞めるそぶりは全くなかったんですよ。だから、また会えると思って疑わなかったんです」

 セラピストとの突然の別れ――、それがどれだけ美月さんの心を傷つけたかは察するに余りある。ちなみに女風の世界では突然の別れは、珍しいことではない。セラピストが事前に退店を告知してくれればまだ良い方で、家族や勤め先への身バレなどでいきなり「飛ぶ」ケースも多々ある。そもそも1年続けているだけでベテランと呼ばれるほどに、女風は入れ替わりの激しい世界だ。わかっていても、セラピストの突然の「卒業」によって、多大なダメージを受ける女風ユーザーも多い。画面の向こうで美月さんは、当時のことを思い出したのか、悲しそうな表情を見せた。

「女風のセラピストは寿命が短いんですよ。今月辞めますとか、今日限りですとかツイートして突然いなくなるんです。だからそれをきっかけに、もう女風の利用は辞めようと思いました。だけど、寂しいじゃないですか。
それである時、レズ風俗のサイトを見たんです。そうしたら結構、皆さん長く働かれているんですね。何年も働かれている方もいて、すぐに辞めない安心感がめちゃくちゃあったんです。次に利用するのは、絶対ここにしようって思いました」

 なるほど、と思う。「推し」も「セフレ」も、いつかいなくなる。その心が裂けるほどの辛さを、美月さんはこれまでの人生で何度も何度も味わっている。せめてそんな辛さは先延ばしにしたい。きっと美月さんにとっては相手が男か女かはさして重要なことではないのだ。それよりも、最初にキャストの在籍期間に目が行ったのは、過去に辛い経験を重ねた美月さんなりの教訓なのだと思う。
 コップの中の寂しさは、またもやいっぱいになり溢れ出しそうになってきている。
 だから、美月さんは女風から卒業後わずか1か月も経たずして、レズ風俗の世界に足を踏み入れた。試しにボーイッシュな雰囲気のキャストを指名してみることにしたのだ。ちなみに女風ではその従事者をセラピストと呼ぶが、レズ風俗ではキャストと呼ぶのが一般的となっている。
 そして美月さんは初めてのレズ風俗で、運命の「推しの女の子」に出逢った。そのキャストとは、動物カフェでデートしてからホテルに行き、すぐに夢中になった。初めて指名したにも関わらず楽しすぎて、すぐにリピートしたくなるほどだった。

(後編へ続く)

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菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

Twitter @ujimushipro

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