よみタイ

アラサー女子が「性のマンネリ」を解消するために選んだ女性用風俗の世界

レズ風俗から女風へ鞍替え

 しかしその後も朝香さんは、レズ風俗のキャストのTwitterアカウントをウォッチし続けた。キャストのツイートを何気なくスクロールしていると、ある日、「#女風」というハッシュタグがあることに気がついた。面白そう、と思った朝香さんは、「20 代前半」、「テクニック」を条件にしてセラピストを絞り込み、速攻で予約をした。朝香さんにとって、「テク売り」は絶対条件だったからだ。
 待ち合わせ場所に現れたのは、ジャニーズ系の柔和な雰囲気のイケメンだった。しかも、とても落ち着いた話し方で敬語を使い、礼儀正しさを持ち合わせていた。最初から恋人同士のような関係を求める女性もかなり多くいる一方で、一定の距離感を保った接し方をして欲しい女性も少なからずいる。朝香さんは、後者のタイプだった。

「初めて会った女風のセラピさんは、終始敬語だったんです。ちゃんとした人なのが伝わってきました。女風のセラピストは、私をお客さんとして扱ってくれて、その時間は、あくまで仕事として接してくれました。私にとってはその距離感が良かったですね。お風呂から上がったら、しっかり電気も消してあったり、性感に入る前に歯を磨くときも、歯磨き粉を歯ブラシに付けて私に渡してくれたりした。立ち振る舞いがプロだな、と感動しましたね」

 プレイの流れも、最高だった。オイルマッサージから始まり、お尻を舐められる体験もした。気がつくと、きわどい部分に手を伸ばされ、幾度となくイっている自分がいた。そこで感じたのは、セフレや恋人とのセックスとの圧倒的な違いだった。

「セフレや恋人とのセックスだと、どうしても相手が気持ちよくなってるか気になっちゃう。だから、自分と相手が半々ぐらいに攻めなきゃいけないと思って、気を遣うんです。それもあって、セフレと会うと逆に疲れることもある。だけどセラピさんだと基本は受け身でいいし、相手が楽しんでるか、あまり考えなくて済む。めっちゃ楽だから、ストレス発散にもなる。そんな解放感もあって、頭が真っ白になるまで気持ちよくなることができたんです。あとやっぱり、純粋に性感のテクニックは凄かったので驚きましたね」

 そんな極上の時間を提供してくれたセラピストだったが、残念なことに、その後身バレが原因ですぐにお店を退店してしまう。それでも、初回の女風体験が忘れられなかった朝香さんは、女風を利用し続けることに決めたのだった。とはいえ、その後は、失敗体験も多かった。例えば、「即メン」と呼ばれる、その日に会えるセラピストを呼んだときのことだ。

「そのセラピストは、出会った瞬間から何も聞かずに手を握ってきたんです。そんな距離感が好きな女性もいると思うんですけど、私は苦手で、ええっ?と思ってしまいました。しかもカウンセリングのときに私を『絶対、Mでしょ』と決めつけてきた。『何こいつ? 失礼でしょ』と思いましたね。カウンセリングの時点で帰りたくなったし、本当に無理って感じでした」

 暗黒の失敗体験は、まだある。それは性感が絶望的に下手過ぎるセラピストに当たったことだ。そのときは、仕方がなく感じているふりをして、何とか時間をやり過ごした。そんなハズレがあってもめげずに、朝香さんは指名を繰り返した。そうしてようやく出会ったのが、運命の人ならぬ、運命のセラピスト(!)であった。それが、今まさに朝香さんが「沼っている」という、張本人なのだ。

1 2 3

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

Twitter @ujimushipro

週間ランキング 今読まれているホットな記事