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不惑を過ぎてSMに開眼! セックスレス20年超の人妻が出会った「プロのサディスト」

プライベートパートナーの病気から女風へ

 パートナーと念願のSMライフを存分に満喫していた明美さんだったが、すべてがひっくり返るほどの大事件に直面する。なんと、還暦近いパートナーが突如病に倒れたのだ。 
 パートナーの不在によって、明美さんの人生からSMの灯がパタリと消えた。しかしパートナーに開発された、たぎるようなМとして欲求は疼いてやまない。

「パートナーの病気は、青天の霹靂だったんです。自分の人生からSMが無くなった瞬間、凄く喪失感があった。その喪失感は普通のセックスじゃ埋められなかったですね。だけど、SMってちょっと特殊な性癖じゃないですか。だからパートナーがいなくなると、それに代わる誰か相手を探そうにも難しいんですよ。自分一人じゃどうにもこの性癖を処理できなくなって、急に焦り始めました。それで、悩みに悩んでМ女専門の女性用風俗を利用することにしたんです」

 女性用風俗のお店があることは以前から知っていたが、パートナーがいる自分には、全く無縁な世界だと思っていた。しかしSMへの渇望は日に日に膨らむばかり。明美さんは思い切ってSM専門の女性用風俗店の門を叩いた。丁寧なカウンセリングを経て、ホテルでピシリと走る鞭の痛みを体に再び感じたとき、やっぱり私はこれを求めていたんだ、と思ったという。

 これまで積み重なっていた不全感がみるみる間に解消されていく。何よりも感動したのは、相手が素人ではなくプロであるという安心感だ。

「最初は女風にすごくハマりましたね。プロはやっぱり違うんですよ。プレイの引き出しが多いし、プロ意識があるから危ない一線は越えない。パートナーは素人ですし、Мであるこっちが受け身なので、向こうがしたいプレイに合わせる形になる。だけど女風だと私がやりたいことを優先してくださるし、不安に思っていることを一緒に解消しようとしてくださるんです」

 明美さんは数名のサディストとプレイしたが、その中でもお店の人気ナンバーワンだった30代後半の男性を指名するようになった。男性の本業は日々人の体に向き合う仕事ということもあり、何よりも人体のプロに身を委ねる信頼感があった。また、相手の限界を超えさせ快楽に導きたいという彼の姿勢に共感したのも理由の一つだ。

写真:photoAC
写真:photoAC

「彼は本人の限界やタブーを超えさせることに凄く興味を持ってらっしゃるんです。これはできないと本人が思ったハードルを乗り越えることですね。私は意外とどんなプレイにも対応できるので、NGはない方だと思う。例えば鞭でどんなに打たれても全然何とも思わない。だけど唯一苦手なのはビンタなんです。ビンタだけはプライドを傷つけられる気がして苦手でした。だけど彼に実際にやられてみたら乗り越えられたし、良かったというのが新たな発見でしたね」

 そんな彼との体験を通じて、世界がどんどん広がっていくのがわかった。明美さんはこれまでやりたかったプレイを事前にDMで彼に送り、その度に再現してもらった。鞭、縄、低温ろうそく、腹パン、様々なSMプレイを体験した。鞭はバラ鞭から始めて、次第に一本鞭まで耐えられるようになっていく。

後編へ続く)

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菅野久美子

かんの・くみこ
ノンフィクション作家。1982年生まれ。
著書に『家族遺棄社会 孤立、無縁、放置の果てに。』(角川新書)、『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる』(毎日新聞出版)、『孤独死大国 予備軍1000万人時代のリアル』(双葉社)、『ルポ 女性用風俗』(ちくま新書)などがある。また社会問題や女性の性、生きづらさに関する記事を各種web媒体で多数執筆している。

Twitter @ujimushipro

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