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不良夫婦
あなたは「結婚」という制度に疑問を感じたことはないだろうか。

連日メディアを騒がせる不倫ゴシップは氷山の一角。女性の社会進出、SNSや出会い系アプリの普及……出会いの機会が爆発的に増える一方、多くの夫婦が良好な関係の維持に苦戦しているのもまた事実。セックスレス、不妊、モラハラ、DV……問題は山積みで、それが令和時代の夫婦を取り巻く現実だ。

これは120年以上も変わらない今の結婚制度に限界を感じ始めた夫と妻が、それぞれの視点で語るストーリー。

仮面夫婦状態の櫻井夫婦。夫・康介はクライアントである小坂瑠璃子と男女の仲に。夫の反対を押し切り起業準備を進める麻美に本気で離婚を考え始めるが、偶然にも妻と間男の密会を目撃し、想像以上に動揺する。
そんな矢先、妻から思いがけず「子作り&オープンマリッジ」の提案をされて――

前話はこちら、全話一覧はこちら

(隔週土曜で更新予定です)

子作りを拒否し続けてきた夫が、妻の「体外受精提案」に快く応じた理由(第18話 夫:康介)

「よその女を気遣う余裕はない」不良男の身勝手

『先生、今夜は会える?会いたい』
『連絡して』
『どうして無視するの』

自宅書斎のデスクでLINEを確認し、どっと気が重くなった。

瑠璃子から日に何通も届く文面は、徐々に焦燥を増して康介を追い詰めてくる。

そろそろ返信しなければと思うものの、どうしても指が動かなかった。今後どういう態度をとるべきか、まだ決めかねているからだ。

自分でも心境の変化に戸惑うが、麻美と間男の密会を目撃した瞬間、瑠璃子に対し確かに感じていたはずの愛着が嘘のように消えた。

『先生、先生』と甘えた声を出し、肌を密着させてくる彼女を思い出しても、今となっては鬱陶しさが先にくる。

男は慢心から浮気に走るものらしいが、確かにそうなのかもしれない。

妻に心をかき乱され「二人の今後について話したい」などと意味深に言われた今となっては、よその女を気にする余裕が持てないのだ。

「こうちゃん、18時には出られそう?」

ドア越しに麻美の声がして、慌ててスマホ画面を裏返す。

今日はこの後、妻と出かける予定だ。おそらく彼女から「二人の今後」について何かしらの提案があるに違いない。

努めて平常心で「ああ、大丈夫」と答えながら、ふと思い直して再びスマホを手に取る。そして、迷いつつも「ごめん、今日は難しい。連絡する」と返信を打った。

……とにかく今夜は妻との会話に集中しなければ。余計な雑音に邪魔をされたくなかった。

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山本理沙

やまもと・りさ●84年 東京都生まれ。日本女子大学文学部卒卒業後、外資系航空会社客室乗務員、金融機関・コンサルティングファームの秘書業務を経てフリーランスへ。
2015年〜2019年に東京カレンダーWEBにて『東京婚活事情』『結婚願望のない男』『東京ホテル・ストーリー』など多数執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(里奈Ver.)共著原作者。『不良夫婦』では(妻side)を執筆。

Instagram●Lisa_fluffy
Twitter●山本理沙/WEB作家




安本由佳

やすもと・ゆか●81年 奈良県生まれ。慶應義塾大学法学部を卒業後、化粧品会社広報、損害保険会社IT部門勤務を経てフリーランスへ。
2016年〜2020年1月 東京カレンダーWEBにて『二子玉川の妻たちは』『私、港区女子になれない』など多数の連載を執筆したのち、2020年10月講談社文庫より初書籍『不機嫌な婚活』を出版。よみタイで好評連載中の漫画『恋と友情のあいだで』(廉Ver.)の共著原作者。『不良夫婦』では(夫side)を執筆。

オフィシャルサイト●安本由佳
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Twitter●安本由佳|WEB作家@軽井沢

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