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小野一光「限界風俗嬢」

夫が「して」くれないから……花のごとき人妻風俗嬢

本当は、74年生まれの45歳

 じつはこれは異例のことだ。風俗嬢、それも人妻である場合、実生活について触れる可能性のあるSNSを明かすことは、多大なるリスクを伴う。だが彼女はあけっぴろげだった。そのため私は、ハルカの本名を知っていることに留まらず、彼女が夫と旅行に行ったときの写真を見ているし、さらには“昼職”として携わっているという、スピリチュアル系のセラピストとしての活動についても見聞している。また一方で、風俗店での取材の折には、毎回服を脱いでもらい、記事用の写真を撮影してきた。

 私生活や衣服の内側。これだけ彼女の赤裸々な部分を把握しているにもかかわらず、男女の関係がまったくないプラトニックな存在という、不可思議な関わりを保っている。
 そんな私が、ハルカに今回の取材を申し込むのは当然のことだと思う。まだまだ知らない部分があるのだろうから、そこも見てみたい。そんな軽い気持ちでのオファーだった。それに対しての彼女のライン(LINE)での反応は、〈OKです!〉という、これまた非常に軽いものだった。
 
 当日、渋谷で待ち合わせた我々は、近くのカラオケボックスへと向かう。
 クリーム色のコートを着たハルカは、その下にグレーの柔らかそうな生地のインナーに白い膝上スカートと、やはりフェミニンな服装だ。
 この日、彼女と会うのは十カ月ぶりだったが、とくに変化は感じない。なんというか、久しぶり感がないのだ。旧知の友人に会ったような、落ち着いた雰囲気である。

取材時、レースの膝上スカートというフェミニンな装いで現れたハルカ  撮影/小野一光
取材時、レースの膝上スカートというフェミニンな装いで現れたハルカ  撮影/小野一光

「ところでさあ、ハルカさんって何年生まれなんだっけ?」
 部屋に入ってテーブル越しに向き合うと、すぐに彼女の実年齢につながる質問をした。

「えーっ、いきなりそれ? 生まれたのは(一九)七四年」
「ということは、いま四十五ってことだよね」
「そうそう。ははは」

 ハルカは笑いながら頷く。
 つまり最初に取材したときは四十二歳だったことになる。正直いって、まったくそのようには見えない。現在でも三十代後半で通じる外見だ。私は素直に思ったままを口にした。彼女もそう言われて、「またまたぁ」と口にしつつ、満更でもない表情を見せる。

高校卒業まで、ごく普通の奥手な女の子だったハルカが開花したのは、東京でバスガイドの仕事を始めてからで……ハルカの奔放なナイトライフが語られる第10回は、1月10日(金)更新予定です。
「SMクラブで働くエリート女子大生アヤメ」の回はこちら。「歌舞伎町で働く理系女子大生リカ」の回はこちら

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小野一光

おの・いっこう●1966年、福岡県北九州市生まれ。雑誌編集者、雑誌記者を経てフリーに。「戦場から風俗まで」をテーマに、国際紛争、殺人事件、風俗嬢インタビューなどを中心とした取材を行う。
著書に『灼熱のイラク戦場日記』『風俗ライター、戦場へ行く』『新版 家族喰い——尼崎連続変死事件の真相』『震災風俗嬢』『全告白 後妻業の女』『人殺しの論理』『連続殺人犯』などがある。

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