2018.10.24
マンモに写らなかった影
その際、触診とマンモグラフィーは基本で、私自身も受けていた。だが毎回、異常なしという結果だった。今回、乳腺科で受けた検査でさえ、触診とマンモで異常は発見できなかった。
「あのさぁ、節子さんとお風呂入ったことはないけど」と電話で話した折に小池真理子さんが口ごもった。「節子さん、巨乳じゃないよね。大きいとマンモに写りにくいって話だけど、どっちかっていうとヒンだよね……」
おいっ、こら!
ヒンだからといって全部が全部写るわけではない。だがエコーには捉えられた。
逆にエコーでは何も発見できず、マンモグラフィーで見つかる場合もあるらしい。
大切なのは、検診を受ける一方で、日常的に自分の体の状態に気を配ることではなかろうか。自分で触れたときの固いもの、何とはなしの違和感、小さな出血、張ったような重苦しさ。
乳房に限らず、自分の体の中で異変が起きているときは何かサインがある。
頭の良くなりすぎた人間という生き物は、しばしば体からのサインに気づかない。気づいても気づかないふりをする。
今はそれどころじゃない、たいしたことはない、と体からの警告や訴えを無視して仕事に励み、子育てや介護に勤しむ。それが深刻な結果をもたらすこともある。
体の声を無視してはいけない。
おかしい、と思ったら立ち止まる。危ない、と判断したら医療機関を訪れる。その一瞬を、自分ファーストに切り替えることの大切さを、病気になって初めて知る。