よみタイ

移住の前に、本当はやっておかなければならなかったこと

住民票の移動を超えて、霧島市民になるということ

――今後、移住に関して、どのようなことを進めていこうとしているんですか?

松元さん「去年の11月に、オンラインで移住ツアーを初開催しました。霧島市を海エリアと山エリアに分けて、それぞれ移住者の方に現地リポーターになってもらって、それぞれの魅力や暮らしをお届けするような形ですね。メインの配信拠点は霧島市役所で、それぞれをZOOMで繋いでウェビナーとして配信したのですが、北海道から沖縄まで40人くらいの方に参加いただけて……正直、予想外でした。カンボジアやニュージーランド、シンガポールと、海外からの参加者もいて驚きました」

――年齢層としてはどんな方が参加されたんですか?

松元さん「子育て世帯の方がいたり、年配の方がいたり、本当に幅広く。今まで移住相談をしてくれた方にもDMを送ったのですが、それが一番効果的でしたね。移住って簡単には決められないじゃないですか。何度も何度も検討して、段階を経て決心に至ると思うのですが、このオンラインツアーをきっかけに決断してくれた方もいたので、やってよかったと思います」

――じゃあ、これは引き続きやっていくと。

松元さん「来年度も引き続き、もっと発展させながらやっていきたいです。霧島市だからこそできる、霧島市ならではの、且つ、時代に即したツアーが展開できればいいですね。移住に至らずとも、霧島の良さを知ってもらって、その人達に霧島の魅力を発信してもらいたいという気持ちもありますし」

――関係人口を増やしたいということでしょうか?

松元さん「そうですそうです。特に、実際に霧島市に移住された方に主役になってもらいたいんですよ。それで今回も、先輩移住者と移住を希望される方を繋ぐという形で行ったんです」

――移住者同士の横の繋がりもあるんですか?

貴島さん「ありますよ。我々が間に入ることもあれば、自ずと繋がっていくこともありますし、その繋がりを大事にしていきたいと思っています」

――じゃあ、今度その東京から来たというご近所さんをぜひ紹介してください! 最後に、今後の目標を教えていただけますか?

松元さん「霧島に空港があるということが意外と知られていないので、まずは気軽に来られるんだよってことを知ってほしいですね。都会に住んでいると、日頃の疲れを癒やしに1泊か2泊で温泉に行くと思うんですけど、霧島の場合は、日常生活に温泉があるんですね。気軽に足を運べるし、安価で、素晴らしい泉質で、そしてそこで人と人との交流が生まれたり、家族同士の絆が深まったり、そういう楽しみ方ができるのが田舎の良さであり、霧島の良さなんだと思います。霧島の魅力に惹かれてやってきた先輩移住者同士を繋いで、移住を考えている方々に紹介していきながら、霧島を好きな人がどんどん集まる町にしたいですね」

 その後、貴島さんと松元さんは、市役所の人というよりも、ご近所さんのように、福山から見えるダイヤモンド桜島の美しさや、美容にもいいという関平鉱泉という美味しい水があること、年輪堂というおすすめのサロンなど、既に移住している私に霧島の魅力をたくさん教えてくれました。
 行きつけの温泉を互いに話したり、貴島さんが飼っている牛の話をしたり、人間味のある会話が続きました。
 しかも、貴島さんは衆議院選のときの立会人だったそうで、私が投票に小学校を訪れたことを覚えていました。なんという記憶力!

 霧島の現状や、移住制度について聞こうと思って始まったインタビューでしたが、終わったあと心に残ったのは、このおふたりは霧島のことが本当に好きなんだなということ。インタビューの途中、「市民の生命と財産を守るのが市の使命」という言葉が当たり前のように出てきたことも印象的でした。
 霧島が好きな人に集まってほしい。確かに。
 霧島を変えたいと思う人ではなくて、今の霧島の姿を好きな人たちが集まって、この中で経済を回しながら、この町を守っていくことだって本当はできるんだろうなあ。
 少子高齢化、休耕地の増加、空き家問題。課題はたくさんあるけれど、霧島を愛する人達がもっとたくさん集まって、競争ではなく協力という形で乗り越えることはできないのだろうか。
 もう住民票は移しているけれど、こんなことに思いを馳せるようになって、だんだんと自分が霧島市民になっていくような気がしました。

1 2 3 4 5

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

藤原綾

1978年東京生まれ。編集者・ライター。早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社に就職するも、大企業の闇に触れて逃げるように宝島社に転職。ファッション誌の編集を経て2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙……と、節操なく仕事を受けてきた結果、幅広い業界で編集・執筆活動を行うことに。近年もブランドムック『ANNA SUI COLLECTION BOOK』、雑誌『小学一年生』、漫画『ごろごろにゃんすけ』(村里つむぎ)、書籍『つくるひとびと』(秋山竜次/ロバート)、小説『海の怪』(鈴木光司)、カタログ『LAZY SUSAN』など、極端なノンジャンルで活動中。

インスタグラム @id_aya

週間ランキング 今読まれているホットな記事