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移住の前に、本当はやっておかなければならなかったこと

七つの町が合併してできた、七色の霧島市

――では、移住を決めた方は、どのようなことが決め手になっているとお考えですか?

松元さん「やっぱり空港があることは大きいのかなと思っています。全国に1700くらいの自治体がある中で、空港がある自治体はたぶん80くらいしかないので。空港所在地ってそれだけ貴重な町なんですね。全国各地からいつでも霧島に来ることができるし、鹿児島空港は離島便も多いので、ここをジャンプ地として離島へもアクセスできます。それに、高速道も整備されていて県外にも行きやすいのも強みですね」

貴島さん「あと、温泉の源泉数が10種類くらいあって、全国でもトップクラスなんですよ。標高も0から1700mまであって、七色の顔を持っているというか。利便性が悪い地域もあるけれど、福山あたりは黒酢の醸造や畜産が盛んで、若手の人がたくさん集まって盛り上がっていますよ」

松元さん「それと、私が個人的に思うのはやっぱり“人”なんじゃないかなと思うんですよね。いくらその土地が好きになっても、人との関係がうまくいかなければ、移住って実現しないじゃないですか。霧島の強みってなんだろうって考えると、実は人の温かさなんじゃないかなあ」

――それは私も普段から感じています。とくに子育て世帯は暮らしやすそうなイメージがありますがいかがですか?

松元さん「実は、私も以前2年ほど東京にいたんですよ。その頃に比べたら、断然こっちのほうが子どもを育てやすい環境ですね」

――それはどんなところで感じますか?

松元さん「言い出したらキリがないですけど、たとえば公園で遊ぶにしても東京だと遊具が取り合いなんですね。でも、ここだとサッカー場一面くらいはある芝生で、のんびりと誰に気を遣うでもなく遊ばせられますし、あとは、車があるのが大きいですね。都内だと車を持つことが難しかったので、いちいちベビーカーを押して、電車に乗って。地下鉄から降りて近くにエレベーターがなかったら担いで上がって。私は男性だからいいけど、妻は大変だったと思います」

――ちなみに、移住に際しての一番大きなハードルって、やっぱり仕事だと思うんですね。私は有り難いことに、ある程度リモートワークが可能な職種なのですが、関西や関東など遠方からの移住者の仕事としてはどのようなものがあるんでしょう?

松元さん「テレワークの人は確実に増えていますね。藤原さんのご近所にも、東京から来た方がいらっしゃいますが、その方もテレワークということで移住されてきました」

貴島さん「霧島市の場合は誘致企業も多いので、県内のなかでいうと求人自体はそこまで悪くないんですよ。以前はリタイヤ組の移住者だったり、もともと県内で仕事を持っている人の移住だったりで、仕事の相談はほとんどなかったのですが、最近は県外の人から仕事も含めた移住の相談が増えてきました。あとは、東京圏から霧島市に移住して、鹿児島県の就職情報サイトに掲載されている求人で就業した場合、支援金制度の対象になります。お金の話ばかりするのも嫌なんですけどね」

松元さん「東京圏からだと、どうしても給与水準はガクッと落ちてしまいますが、住宅にかかる費用や食費もガクッと落ちます。実際に暮らしてみてどうですか?」

――私の場合、ひとりで暮らすにはだいぶ大きな家なので、電気代があがったことは仕方ないとして、今はガソリン代がぐっと上がっているし、維持費を考えると車はちょっと大きいかもしれませんね。ただ、住居費と食費はおっしゃる通りどーんと落ちました。それに、もしかしたら、知らず知らずのうちに使っていた“見栄”代をかけなくなっているかもしれません。モノがあふれているから、欲も刺激されていたと思いますし。

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藤原綾

1978年東京生まれ。編集者・ライター。早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社に就職するも、大企業の闇に触れて逃げるように宝島社に転職。ファッション誌の編集を経て2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙……と、節操なく仕事を受けてきた結果、幅広い業界で編集・執筆活動を行うことに。近年もブランドムック『ANNA SUI COLLECTION BOOK』、雑誌『小学一年生』、漫画『ごろごろにゃんすけ』(村里つむぎ)、書籍『つくるひとびと』(秋山竜次/ロバート)、小説『海の怪』(鈴木光司)、カタログ『LAZY SUSAN』など、極端なノンジャンルで活動中。

インスタグラム @id_aya

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