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藤原綾「女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住」

仕事、生活費、災害対策……移住の前に考えなければならないこと ——経済アナリスト・森永卓郎さんに聞く

“田舎”に行けるのは、40代の今だからこそ!

――お話を伺っていると、私はトカイナカに住んだ方がいいのでしょうか。

「私は、少なくとも40代までなら田舎に行っても大丈夫だと思います。でも、50代以降の人はトカイナカでやめた方がいいと思いますね。田舎には自分の収入を得るための生業の他に、消防団やお祭りの準備など町や村の仕事もいっぱいあって、そこに参加しなきゃいけないんです。場所にもよりますが、そこに参加して一人前と認めてもらえるまでに、長いと10年かかってしまう場合もある。だから歳をとってから田舎に行くと、そこに入り込むのが時間的に難しくなってしまうんですね。私はずっと所沢の端っこで過ごそうと思っているのですが、やっぱり田舎は若いうちに行かないと難しいと思います。若ければ柔軟性もありますし。私の友人でも田舎に移住した人がいますが、成功率は半分くらいですね」

――半分の失敗した人というのは、どんな理由だったんでしょうか?

「そこでの人間関係に悩んだり、結局稼げなくて預貯金を食い潰したりして東京に戻ってくるパターンですね」

――なるほど……。

「だから、生活費をどこまで抑えられるかっていう話になります。そんなにサンプルは多くはないのですが、私が聞いた限りだと夫婦で最低でも月10万はキャッシュが必要になります」

――私の友人は20万くらいあれば十分と言っていました。逆に言うと、月10万あれば生きていける世界ということなのでしょうか?

「だって、食費なんて全然かからないし、家賃なんてほぼただみたいなものだし。保険料や町内会費、光熱費といったものや、自分で作れないものへの支出ですね。ただ、一番大きいのは車ですよね」

――確か、水道代とかは応能負担だったと思うのですが、人口が減少すると水道料金も上がっていくということもありますよね?

「都道府県別の1世帯あたりの水道料金を見ると、トカイナカが圧倒的に安いんですよ。おっしゃる通り、地方に行くとめちゃくちゃ水道料金が高い地域もあります。ただ、市町村ごとに料金が異なるので、たまたま湧水があったり、大きな川が流れていてそこから取水できたりするところは安いですね。でも、大雑把にいうと田舎の方が高くつきます」

――食費や土地の取得費は確かに安いかもしれませんが、ガスも山間部だとプロパンガスですし、それ以外の部分を考えるとトータルではどうなんでしょうか?

「結局、田舎だと実は生活費自体はあまり変わらないんです。家賃が安い分を、交通費と物価で食い潰しちゃう感じなんですよ。でも、そこはやり方次第ですね。例えば、原付バイクにすれば1/3以下で済むし、そこはどう考えるかなんですね。私は一億総農民、自産自消がいいと言っているのですが、大都市で農業ができるかっていうと、都心には畑がないのでほぼ無理なんです。この前、練馬の区民農園を借りている人の話を聞いたんですけど、10坪もない畑に月8000円も取られているんですよ。でも、トカイナカにしろ田舎にしろ、耕作放棄地だらけなのでただなんです。ただ、難しいのは、契約に行ってすぐ借りられるわけではなく、人間関係を作ってからじゃないと貸してもらえないという点です。そこはなかなか難しいというか、溶け込んでいかないと難しいということはあると思います」

――そういう意味で言うと、やっぱり縁があるところの方が生きていきやすいのでしょうか?

「そうそう。圧倒的に有利だと思いますよ。それに、リモートワークができない人が本当の田舎に移住した場合、農業で飯を食うか、自分で会社を作るしかないんですね。でも、例えばレストランを作るにしても、東京だとものすごい激戦で美味しいお店が鍔迫り合いをしている状況ですが、田舎だと割と競争がゆるいので、自分で会社を立ち上げるのもやりやすいと思います。ネット通販で売ることもできるようになりましたし、地方に行きやすくなっている状況にはあると思います」

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森永卓郎

1957年生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)主席研究員等を経て、現在は獨協大学経済学部教授を務める。経済アナリストとして各種メディアで活躍するほか、バラエティ番組などにも登場し、お茶の間でも人気を博している。格差社会の弊害をいち早く指摘し、ワーキングプアの問題にも早くから警鐘を鳴らして注目を集めた。近著に、『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ: 都会を飛びだし、「自産自消」で豊かに暮らす』、『相続地獄~残った家族が困らない終活入門~』などがある。

藤原綾

1978年東京生まれ。編集者・ライター。早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社に就職するも、大企業の闇に触れて逃げるように宝島社に転職。ファッション誌の編集を経て2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙……と、節操なく仕事を受けてきた結果、幅広い業界で編集・執筆活動を行うことに。近年もブランドムック『ANNA SUI COLLECTION BOOK』、雑誌『小学一年生』、漫画『ごろごろにゃんすけ』(村里つむぎ)、書籍『つくるひとびと』(秋山竜次/ロバート)、小説『海の怪』(鈴木光司)、カタログ『LAZY SUSAN』など、極端なノンジャンルで活動中。

インスタグラム @id_aya

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