よみタイ

藤原綾「女フリーランス・バツイチ・子なし 42歳からのシングル移住」

仕事、生活費、災害対策……移住の前に考えなければならないこと ——経済アナリスト・森永卓郎さんに聞く

森永卓郎さんに聞く、都心に住むことの大きなデメリットとは何か

――森永さんは、端から見ていると、とても充実した生活を送っているようにお見受けします。お金は手段であって、人間の豊かさとはまた別にあると思うのですが、森永さんは豊かさとはどのようなものだと考えていますか?

「やはり、好きなことをして生きている人が豊かだと思うんですね。そういう意味では、都会に住んでいる人達は、今回のコロナ禍ですごく不幸だったんですよ。小さな家にずっと閉じこもっていなきゃいけなくて、感染のリスクも地方と比べればめちゃくちゃ高い。東京の最大の魅力であるお洒落なレストランや魅力的なエンターテインメントも全部閉まってしまいました。欲求不満の塊になっても、高い家賃を払い続けるためには、やりたくもない仕事を歯を食いしばってやるというライフスタイルになってしまったわけです」

――東京の一極集中で、都会に住む人は増え続けてきましたが、ここに来て価値観が一変したように見えます。

「多分、そこに追い討ちをかけるのが災害です。私は、恐らくもうすぐ首都直下型地震が来ると思っているのですが、大都市で地震が起こるとめちゃくちゃになることは目に見えています。なぜ東京が地震に弱いかというと、つい最近まで東京の大部分は海だったんですね。だから地盤がとても弱いんです」

――以前、地震研究所に取材した時も、南海トラフの話が出て、いつ起きてもおかしくない状況だと聞きました。

「それに、今のところは来ていませんが、線状降水帯が東京上空に停滞したら、23区の1/3が水没してしまいます。これは大阪でも名古屋でも一緒なんですね。東京は莫大な公共投資をして、時間雨量が100mmでも大丈夫なように治水対策をしているのですが、最近の地球温暖化でとてつもない豪雨が降るようになってしまいました。もしそれが東京で起こると、荒川が決壊します。私の東京の事務所は東京駅の近くの八丁堀にあるのですが、そこに至っては最大水深3mくらいになるんですよ」

――私の実家はまさに荒川の近くで、0メートル地帯と呼ばれる場所なんです……。

「そんなすごく危険な状況の中で、つまらない仕事をずっと続けることが本当にいいのかという話にもなってきます。私はもともと東京で生まれて東京で育ったのですが、今回のコロナを機に、東京はもうダメだと思ったのが正直なところです。ただ、藤原さんの連載を読んでみると、大都市か地方かという二者択一になっているんですけど、実はもうひとつ“トカイナカ”という重要な選択肢があるんです」

1 2 3 4 5 6

[1日5分で、明日は変わる]よみタイ公式アカウント

  • よみタイ公式Twitterアカウント
  • よみタイ公式Facebookアカウント

関連記事

森永卓郎

1957年生まれ。東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業後、日本専売公社、日本経済研究センター、経済企画庁総合計画局、三和総合研究所(現 三菱UFJリサーチ&コンサルティング)主席研究員等を経て、現在は獨協大学経済学部教授を務める。経済アナリストとして各種メディアで活躍するほか、バラエティ番組などにも登場し、お茶の間でも人気を博している。格差社会の弊害をいち早く指摘し、ワーキングプアの問題にも早くから警鐘を鳴らして注目を集めた。近著に、『森永卓郎の「マイクロ農業」のすすめ: 都会を飛びだし、「自産自消」で豊かに暮らす』、『相続地獄~残った家族が困らない終活入門~』などがある。

藤原綾

1978年東京生まれ。編集者・ライター。早稲田大学政治経済学部卒業後、某大手生命保険会社に就職するも、大企業の闇に触れて逃げるように宝島社に転職。ファッション誌の編集を経て2007年に独立し、ファッション、美容、ライフスタイル、アウトドア、文芸、ノンフィクション、写真集、機関紙……と、節操なく仕事を受けてきた結果、幅広い業界で編集・執筆活動を行うことに。近年もブランドムック『ANNA SUI COLLECTION BOOK』、雑誌『小学一年生』、漫画『ごろごろにゃんすけ』(村里つむぎ)、書籍『つくるひとびと』(秋山竜次/ロバート)、小説『海の怪』(鈴木光司)、カタログ『LAZY SUSAN』など、極端なノンジャンルで活動中。

インスタグラム @id_aya

週間ランキング 今読まれているホットな記事