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MEGUMIに人生を救われたおじさんが『キレイはこれでつくれます』を読んで考えたこと

 イエローキャブ所属(当時)のグラビアタレントとして華々しいデビューを飾ったMEGUMIだが、己の若さを過信し日々のスキンケアを怠った結果、30歳にして肌はボロボロ、顔に深く刻まれたほうれい線を隠すためにメイクは濃くなる一方という出口の見えないデススパイラルに彼女はハマっていく。
 一時期は人と会うことすら嫌になっていた彼女が一念発起して本気で「美容」に取り組んだ戦いの記録。1000以上は試したという美容法の中から本当に効果があったものだけが厳選収録されており、しかも本の中で紹介されている商品はすべてMEGUMIの私物だというのだから恐れ入る。大ヒットしているのも納得である。

 美肌、メイク術、ヘアケア、デンタルケア、メンタルケア、流行りのサウナに美容医療まで、あらゆるジャンルを網羅した本の内容は圧巻のひとこと。何より素晴らしいのは、芸能人でしか購入できないような高級品ではなく、毎日のシートマスクはドラッグストアなどで安価で購入できる「ルルルン」シリーズ一択だというところ。値段に左右されぬ確かな審美眼を持つMEGUMIに心からのリスペクトを。
 あと何が嬉しいって、実は私も「ルルルンプレシャス」の緑を最近愛用しているのだ。MEGUMIと爪切男は同じシートマスクを使っている。これは紛れもない事実である。

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 気になったページに付箋を貼り、心に残った言葉には赤のマーカーで線を引く。買ったばかりの本が、あっという間に使い古された大学受験の参考書のように汚れていく。
 付箋だらけになった本を見て、駆け出し時代を思い出す。デビュー作の取材を受けたとき、インタビュアーさんが持参した私の本にたくさん付箋がついているのを見て、心から感動したものだった。パフォーマンスのつもりで、ちょっと大袈裟に付箋を貼っているんだろうなとか意地悪なことを少し思ってごめんなさい。付箋だらけにしてもらえるような本を私も書き続けたいと心から思う。

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爪切男

つめ・きりお●作家。1979年生まれ、香川県出身。
2018年『死にたい夜にかぎって』(扶桑社)にてデビュー。同作が賀来賢人主演でドラマ化されるなど話題を集める。21年2月から『もはや僕は人間じゃない』(中央公論新社)、『働きアリに花束を』(扶桑社)、『クラスメイトの女子、全員好きでした』(集英社)とデビュー2作目から3社横断3か月連続刊行され話題に。
最新エッセイ『きょうも延長ナリ』(扶桑社)発売中!

公式ツイッター@tsumekiriman
(撮影/江森丈晃)

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