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衆院選投票率は微増の55.93%。選挙を盛り上げられなかった全政党と有権者は責任を感じてほしい

立憲民主党の枝野幸男代表は「私は『野党共闘』という言葉を使っていない」などと発言して選挙を盛り下げてしまった。枝野代表の責任は小さくない。(撮影/畠山理仁)
立憲民主党の枝野幸男代表は「私は『野党共闘』という言葉を使っていない」などと発言して選挙を盛り下げてしまった。枝野代表の責任は小さくない。(撮影/畠山理仁)

「選挙は公示日にはもう終わっている」という言葉もある

 維新の政治に対しては「必要な公共サービスまで切っている」という批判が常にある。しかし、どんな1票も同じ力を持つのが選挙だ。いくら立派だと思える理念を持っていても、それを伝え、票の数を増やさなければ選挙では勝てない。

 その意味では、東京18区で勝利した立憲民主党の菅直人氏も、選挙に参加する人を増やす取り組みをしていた。「#会いに行ける元首相」のハッシュタグとともに、SNSを通じて選挙ボランティアを広く募集していたことは画期的だった。従来からの支援者だけでなく、政治に関わる人をどんどん外に広げていた。これは他の政治家もどんどん真似したほうがいい。選挙というスポーツの競技人口を増やすことは、結果的に政治のレベルを上げることになる。

 野党にとって、今回の総選挙は大きなチャンスだった。安倍晋三政権、菅義偉政権ともに、世論調査での支持率はじりじりと低下していた。その後を受けた岸田政権の支持率も50%を切っていた。
 しかも、岸田首相はわずか10日間で衆議院を解散した。総裁選で岸田氏が訴えていた「所得倍増」などの政策は、自民党の政策に反映されていなかった。つまり、与野党ともに「実力は未知数」な状態で選挙に突入していた。
 こんなにフラットな状態で始まる選挙はめったにない。本来であれば、選挙を大いに盛り上げることも可能だった。今まで選挙に行かないと言ってきた人たちと一緒に「ゼロからのスタートを切る」チャンスだったと私は思っている。
 それでも今回の投票率は55.93%にとどまった。与野党ともに選挙を盛り上げられなかった。すべての政党は、選挙という大切なイベントに4割以上の人が参加しなかった責任を感じてほしい。もちろん有権者も感じてほしい。選挙はもっと盛り上げたほうがいい。

 次にやってくる国政選挙は、2022年7月28日に任期満了を迎える参議院議員選挙だ。もう1年もない。
「選挙は公示日にはもう終わっている」
 という言葉もある。
 選挙の楽しさ、大切さに気づいている有権者のみなさんは、今から準備をしてほしい。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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