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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

衆院選投票率は微増の55.93%。選挙を盛り上げられなかった全政党と有権者は責任を感じてほしい

茨城7区で出馬した、水梨のぶあき氏は敗れたものの、全体で最も議席を伸ばした日本維新の会。その理由とは?(撮影/畠山理仁)
茨城7区で出馬した、水梨のぶあき氏は敗れたものの、全体で最も議席を伸ばした日本維新の会。その理由とは?(撮影/畠山理仁)

日本維新の会が勢力拡大に成功したのには理由がある

 今回の総選挙で私がしっかり現地取材できたのは、香川1区、東京8区、茨城7区だ。
 もちろん、他の選挙区にも入っている。神奈川県では、弁護士の郷原信郎氏による「落選運動」も取材した。しかし、一部の候補者にしか出会えなかった選挙区も多い。12日間という短い選挙期間が、とても恨めしい。

 各地で選挙の現場を見て感じたことは、「勝つ人は勝つべくして勝った。負ける人は負けるべくして負けた」というきわめて当たり前のことだ。
 選挙の王道は「有権者との接触機会を増やす」以外にない。その接触をきっかけにコミュニケーションを深めた人が「選挙に強い人」になる。

 日本維新の会が勢力拡大に成功したのは、選挙に関わる人をどんどん広げたからだ。維新の会の議員や支援者は、よその選挙にも出張して経験値を上げてきた。
 ためしに選挙を手伝っている人が、どこの選挙区から来た人かたずねてみてほしい。地元の人だけではない。よその地域からもたくさんのスタッフがやってきて選挙を支えている。そして、各地域で関わる人を増やしている。選挙の楽しさを伝えている。

 投票率が低いことからもわかるように、政治と有権者の距離は遠い。政治に不満を持っていても、「どこから入っていけばいいのかわからない」という人は多い。維新はそうした層に対して門戸を開き、仲間を増やしてきた。わかりやすくたとえるなら、選挙というスポーツの敷居を下げ、競技人口を増やしてきた。
 かならず選挙に行く層は、何も言わなくても選挙に行く。そうした層だけを対象にしていると、多少の議席の増減はあっても、大きな変化は起きない。
 日本維新の会が掲げる「身を切る改革」「既得権益の打破」という言葉は、政治との距離を感じてきた人たちにとって、ものすごくキャッチーだ。その証拠に、候補者の運動量がそれほど多くない地域でも一定の得票を得ている。有権者に触らなくても刺さるのだ。

神奈川県では、8月の横浜市長選挙に続き、弁護士の郷原信郎氏による「落選運動」も。(撮影/畠山理仁)
神奈川県では、8月の横浜市長選挙に続き、弁護士の郷原信郎氏による「落選運動」も。(撮影/畠山理仁)
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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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