2021.11.2
衆院選投票率は微増の55.93%。選挙を盛り上げられなかった全政党と有権者は責任を感じてほしい
果たして今回の選挙は誰が勝ったと言えるのか?
今回の選挙結果を振り返ってみよう。
自由民主党は公示前の276議席から15減らして261議席となった。立憲民主党は109議席から13減らして96議席。日本共産党は12議席から10議席に減らした。
一方、公示前と比べて議席を増やしたのは、公明党、日本維新の会、国民民主党、れいわ新選組の4党だ。
与党である公明党は29議席から32議席に増やした。野党である国民民主党は8議席から11議席、れいわ新選組は1議席から3議席に増やした。もっとも伸びた日本維新の会は、公示前の11議席から30増やして41議席となった。
岸田文雄首相は10月4日に内閣を発足させた直後、「有権者の審判を経て政権を運営していきたい」と言って10月14日に衆議院を解散した。岸田首相が選挙前に設定した勝敗ラインは「与党で過半数(233)」。自民党単独で261議席を確保したため、今回は「勝った」ということになる。
しかし、与党の議席数は9年ぶりに自公で3分の2を下回った。これにより、参議院で法案が否決された場合、自公だけで衆議院再可決することは不可能になった。手放しで「勝った」と喜べる状態にはないだろう。
今回の総選挙の特徴は「野党による候補者の一本化」だ。立憲民主党、共産党、社民党、国民民主党、れいわ新選組の5野党は、289ある小選挙区のうち7割を超える213の選挙区で候補を一本化した。選択肢を絞ることにより、与党系候補と野党系候補の一騎打ちとなる構図が多くの選挙区で見られた。野党系が勝ったのは28%にとどまったが、多くの選挙区で接戦となったことには大きな意味がある。小選挙区で、与党系の大臣経験者が敗れたケースがいくつも出たからだ。
たとえば、秋田2区の金田勝年氏、神奈川13区の甘利明氏、香川1区の平井卓也氏、千葉8区の桜田義孝氏は小選挙区で勝てなかった。この4氏は比例で復活したが、東京8区の石原伸晃氏、熊本2区の野田毅氏のように、比例で復活できず、議席を失った「大物」もいた。これは候補者一本化に効果があることを明確に示したものだ。
その一方で、野党系の大臣経験者では、海江田万里氏、小沢一郎氏、中村喜四郎氏が小選挙区で敗北した。3氏は比例復活で議席を獲得したが、平野博文氏は議席を失った。野党側は「政権交代」を訴えていたが、「世代交代」の色が反映された選挙でもあった。