2020.9.14
菅新総裁決定! 「政党トップを決める2つの選挙」を通じてわかった、自民党のうまさと底力
総裁選で自民党の底力をみた
それでもメディアは野党にも優しかった。合流新党代表候補による、共同記者会見や日本記者クラブ主催による公開討論会、ニコニコ動画による「ニコ生代表選ネット討論会」、TBSラジオでのラジオ公開討論会などが行なわれた。それとは別に2候補の動きを報じるメディアもあった。
しかし、候補者が二人しかいない上、政策を聞いても人々が意思表示をする方法がない。つまり、政治に興味のある人以外は気にしないため、勢力図に大きな変化は生まれない。
国政選挙の投票率が約5割程度に留まる現在、選挙に行かない人たちにも興味を持ってもらうことは大切なことだ。誰もが政治と無関係ではいられない。まずはそこを認識してもらうための努力は、気づいた人たちが積極的に働きかけるべきだろう。
一方、自民党も当初は総裁選で「党員投票」を行なわず、両院議員総会での国会議員票(394票)と都道府県の支部票(3票ずつ・141票)で決めることになっていた。
しかし、ここで自民党の党員からは、通常の党員投票が行なわれないことに対する不満の声が出た。ここからが自民党の底力だ。
各都道府県連は支部票の3票を、党員による「予備選挙」を実施して振り分けることにした。予備選挙の方法は支部ごとに総取り方式やドント方式で異なるが、地方票の意思決定に党員や党友を巻き込んだ。
つまり執行部の決定を、地方組織の実行力でカバーしたのである。
その結果、地方組織の票(141票)は、石破候補42票(29.78%)、菅候補89票(63.12%)、岸田候補10票(7.09%)。国会議員票(394票/うち有効票393票)は、石破候補26票(6.61%)、菅候補288票(73.28%)、岸田候補79票(20.1%)になったとNHKは報じた。
自分が「関われるか」「関われないか」。ここが与党と野党の大きな違いだ。これは多くの人を政治につなぎとめられるかどうかに大きな影響を及ぼしている。
私たち有権者は自分の意思表示をするために「一票」を持っている。公職ではなくとも、国政政党のトップを極める選挙だ。選ばれる側が政治の影響を受ける人たちの大切な権利に無頓着でいいわけがない。