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ゲリラ街宣にはゲリラ取材。演説場所を教えてくれない、れいわ新選組・山本太郎代表を探せ!

ボランティアの口が堅い

 先にも述べたように、来年10月21日までには必ず衆議院議員総選挙が行われる。それに向けて動き始めている人はたくさんいる。
 そのひとりがれいわ新選組の山本太郎代表だ。山本は都知事選に立候補して3位に終わったが、供託金返還ラインを超える65万7277票を獲得した。ギリギリの立候補表明ではあったものの、一定の存在感は示した。

 ところが7月、れいわ新選組は相次いで騒動に見舞われた。
 ひとつは2019年の参院選でれいわ新選組の公認候補だった大西つねきによる「命の選別」発言だ。
 問題発覚直後、山本代表は次のような声明を発表した。

「命の選別の問題に生命尊重の立場から取り組んでいらっしゃる方々にレクチャーを受けていただき、命について真摯に向き合うチャンスを与えたい」

 しかし、一時は「発言の撤回と謝罪」を表明した大西が、最終的には「発言の撤回を撤回」する事態となった。そのため緊急で開かれた党の総会で大西を除籍処分とすることが決定された。
 また、7月27日には参院選(東京選挙区)の公認候補だった野原善正が離党した。

 その騒動から約1カ月。私は山本太郎が8月24日から都内で告知なしの「ゲリラ街宣活動」を開始したという情報をキャッチした。
 いったい、山本は何を語るのか。私は24日に西新井駅(足立区)で行われたゲリラ街宣には間に合わなかったが、25日の金町駅(葛飾区)でのゲリラ街宣現場に駆けつけた。私が到着したときにはすでに演説は終わっていたが、会場にいた山本に直接話を聞いた。

「街宣やりますって言ったら人が集まっちゃうんで。ゲリラだったら実際にその場でのやり取りだし。人の集まりっていうのも予告よりかは弱まるんで。今の社会的状況を考えて街宣でやれることって言ったら、ゲリラかなと」(山本代表)

 私が「選挙区を絞るために都内でやっているのか」と聞くと、山本は「選挙区で考えていないです」と即答した。しかし、今後も都内でゲリラ街宣をする予定だという。

8月25日のぶら下がり取材の様子はこちらから。(動画撮影/畠山理仁)

 このゲリラ街宣は党のサイトでもライブ配信されていない。そのため、山本が街宣で何を話しているのかはわからなかった。
 そこで私は演説を最初から聞くため、翌日から都内の駅を一つ一つあたった。山本太郎本人に聞いても、党の広報担当者に聞いても教えてくれないからだ。
 次期総選挙の公認予定候補者に聞いても「わからない。全く知らされていない」という。ボランティアスタッフに「次の場所をこっそり教えて」と言っても教えてくれない。熱心な支援者に「教えてほしい」と聞くと「逆に教えて下さい」と言われる始末だった。みんな異常に口が堅い。もしくは本当に一部の人しか情報を知らない。
 私は「すでに終わった街頭演説場所だけでも教えてほしい」と山本代表の秘書に頼んだが、全く教えてくれないのだ。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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