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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」
20年以上、国内外の選挙の現場を多数取材している、開高健ノンフィクション賞作家による“楽しくてタメになる”選挙エッセイ。


前回の第19回は、7月の選挙で当選した塩田新鹿児島県知事就任をきっかけに、現地で変化があった「記者会見」についてのお話でした。

今回は「選挙ロス」の暑すぎる夏、親交のある元候補者を探したお話です。

消息を絶ったホームレス区長候補者を探す選挙のない暑い夏

小池都知事の再選で終わった7月の東京都知事選挙から約1カ月半。史上最多22名の立候補者たちはどんな夏を送っているのだろう。(撮影/畠山理仁)
小池都知事の再選で終わった7月の東京都知事選挙から約1カ月半。史上最多22名の立候補者たちはどんな夏を送っているのだろう。(撮影/畠山理仁)

「選挙ロス」期間を救ってくれる元候補者たち

 選挙が終わると自分から候補者に連絡を取る機会は激減する。選挙中は一日に何度も連絡を取っていたものが、いきなり「ほぼゼロ」になる。だから私の心にはぽっかりと大きな穴が空き、強烈な寂しさを感じる。私はこれを「選挙ロス」と呼んでいる。
 選挙の候補者には本当に個性的な人が多い。旧知の人もいれば、新しく挑戦を始めた人もいる。とくに私は一人で取材をするため、直接、すべての候補者と対峙する。だから連絡の頻度が減る選挙後は、当然、寂しくなる。

 選挙に出る人は、もともとエネルギーあふれる人が多い。誰もが社会や有権者に対して伝えたいことを持っている。自分自身の中でとどめておくことができず、次から次へと外にあふれ出る。だから選挙が終わった後も、元候補者たちは気軽に私に連絡を取り、「熱い思い」を伝えてくれる。これが「選挙ロス」期間中の私を救ってくれている。

 もう20年以上の付き合いになる候補者からは、時々、思い出したように大量のファクスが送られてくる。
 現在の政治に対する思いを、一日20通以上ものEメールで送ってくれる人もいる。
 毎日、丁寧に封書で資料付きの手紙を送ってくれる人もいる。
 ちょっとした相談で私に電話をくれる人もいれば、LINEで近況報告をくれる人もいる。
「次の選挙の供託金を寄付してくれないか」
「供託金を貸してもらえないだろうか」
「今から会って話せませんか」
 そんな相談が突然来る。そうかと思えば、
「今日、立候補を届け出ました」
 と事後報告が入ることもある。

 断っておくが、これらはすべて違う人だ。
 世の中には、政治に対する熱い思いを持ち続ける人たちがいる。それが一人ではないことを、みなさんにもぜひ知ってもらいたい。

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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