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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

「政策と人材のオリンピック・パラリンピック」東京都知事選挙で印象に残った演説

選挙が持つ大きな役割の一つは「よい政策」を社会が共有すること

 選挙を単なる勝ち負けの場で終わらせてしまうのはもったいない。

 実は今回の都知事選で22名の候補者が訴えた政策の中には、主張が重なる公約も少なくない。政策が重なるということは、社会的なニーズが高い問題だといえる。
 たとえば、江戸城再建、ベーシックインカムの導入、動物殺処分ゼロ、アニマルポリスの設置などは複数の候補が掲げていた。
 また、通勤ラッシュを解消するための首都高速のダイナミックプライシング(渋滞する時間帯は料金を高くするなど、時間帯によって料金を変動させる)や電車の時間帯別料金(混雑時は料金を高くする)なども複数の候補者から出ていた。

 選挙に出るすべての候補者は、心のどこかに「社会の役に立ちたい」という公共心がある。他人からは理解されづらいかもしれないが、必ずある。それゆえ、たとえ自分は落選しても、自分が提案した政策が社会の中で共有、シェア、パクられることは喜ぶ。それだけでも選挙に出た意味があるからだ。

 有権者が「選びたい候補者が立候補していない」と嘆いているだけでは、決していい候補者は出てこない。有権者の選択肢となる候補者は、社会が育てるしかないからだ。
 つまり、「選びたい候補者がいない」現状は、「今の社会に候補者を育てる力がない」ということの現れだと私は思う。
 選挙の際には、最初から「主要候補」「それ以外の候補」をわけずにフラットな目で見てほしい。そのうえで「投票してもいい候補」と「投票してはいけない候補」を自分の価値基準で選んだほうがいい。あなたの価値観は、あなただけのものだ。

 そして、自分が推す候補者以外の政策にも目を向けてほしい。自分の価値基準に照らして「これはいい」「社会でこの問題意識を共有してほしい」と思う政策があれば、それを自分が支援する候補者に伝えてほしい。
 そうすれば、たとえ候補者が落選しても政策は生き残る。落選した候補の立候補が無駄ではなくなる。
 選挙が持つ大きな役割の一つは、選挙を通して候補者と有権者がコミュニケーションを取ることだ。そうすれば、必ず「よい政策」は社会で共有されていくだろう。

(文中敬称略)

東京都知事選挙開票結果(6月18日告示・7月5日投開票・投票率55.00%・得票順)

小池ゆりこ 3,661,371 無所属
宇都宮けんじ 844,151 無所属
山本太郎 657,277 れいわ新選組
小野たいすけ 612,530 無所属
桜井誠 178,784.29 日本第一党
立花孝志 43,912 ホリエモン新党
七海ひろこ 22,003 幸福実現党
ごとうてるき 21,997 (略称)トランスヒューマニスト党
沢しおん 20,738 無所属
西本誠 11,887.70 スーパークレイジー君
込山洋 10,935.58 無所属
平塚正幸 8,997 国民主権党
服部修 5,453 ホリエモン新党
さいとう健一郎 5,114 ホリエモン新党
市川ヒロシ 4,760.41 庶民と動物の会
ないとうひさお 4,145 無所属
関口安弘 4,097 無所属
竹本秀之 3,997 無所属
石井均 3,356 無所属
長澤育弘 2,955 無所属
押越清悦 2,708 無所属
牛尾和恵 1,510 無所属

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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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