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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

「政策と人材のオリンピック・パラリンピック」東京都知事選挙で印象に残った演説

「主要候補」のひとりとされた宇都宮健児の演説。コロナ禍での選挙の様子もみえた。(撮影/畠山理仁)
「主要候補」のひとりとされた宇都宮健児の演説。コロナ禍での選挙の様子もみえた。(撮影/畠山理仁)

多くのメディアは候補者22名を「主要5候補」「その他の候補」として扱っていた

 今回も私は都知事選告示日(6月18日)のずっと前から取材を進めてきた。そうしなければ全候補者に出会うことが難しいからだ。

 最初に都知事選の出馬表明記者会見を取材したのは4月1日。「伝説の都知事候補」「政見放送芸人」とも呼ばれたマック赤坂(現・東京都港区議会議員)の後継者であり、マック赤坂の付き人を3年半も務めた込山洋の出馬表明だった。
 翌週にはNHKから国民を守る党党首である立花孝志の出馬表明があった。立花はこのときから「定数1の都知事選に同じ党から複数の候補者を立てる」と宣言していた。

 5月18日からは、立候補に必要な書類が東京都の選挙管理委員会で配布され始めた。そこから次第に都知事選に向けての動きは慌ただしくなっていった。
 都庁の記者会見室に通い、次々と出馬表明をする候補予定者を取材する日々が続いた。ここで接触したのを最後に、あとの連絡は電話とメールだけになる人もいた。電話すら通じなくなる人もいた。17日間ずっと私からの電話を無視し続ける人もいた。鋼のように堅い意思がなければ、決してそのようなことはできないだろう。

 多くのメディアは今回の候補者22名のうち、山本太郎、小池百合子、宇都宮健児、小野泰輔、立花孝志を「主要5候補」として扱った。それ以外の候補者は、いつものように「その他の候補」として扱われた。
 選挙中の6月25日には、こうしたメディアによる差別に抗議する形で七海ひろこが都知事選からの「撤退」を表明した。公職選挙法上、立候補の取り下げが認められるのは告示日の17時までだ。撤退の意思表示は自由だが、公選法上は候補者のままである。そのためメディアは七海の「撤退宣言」すらほとんど無視していた。
 メディアがあらかじめ候補者を「選別」するのは「報道の自由」として認められている。一方で、「あらかじめ選別しないメディア」が一つくらいはあってもいいと私は思っている。有権者には「入れたくない候補には入れない権利」があるからだ。

 しかし、残念ながら日本にはそういったメディアがない。そのため私は自分自身のスタイルとして、すべての候補者に声をかけて報道することを心がけてきた。
 この考えを他人に強要するつもりはない。しかし、こうした私の考えを尊重して選挙取材のサポートをしてくれたのが「ニコニコ生放送」(ドワンゴ)だった。
 今回、私はニコニコ生放送の都知事選企画の一部をお手伝いしている。最初の企画は全候補者に登壇依頼をし、告示日夜に18名の候補者が参加した「ネット演説」だ。

【都知事選2020】ネット演説

 選挙戦中盤の6月28日には「東京都知事選挙 討論会2.5【主催:畠山理仁ch】」(全候補者22名に参加依頼。7名は同日行われた東京JC主催の討論会への出席を選択したため、『討論会2.5』にはそれ以外の候補から8名が参加)を開いた。

東京都知事選挙 討論会2.5【主催:畠山理仁ch】

 そして投開票日の夜には開票特番として「候補者たずねて夜の街LIVE」を行った。

【都知事選2020】もう1つの開票特番 候補者たずねて夜の街LIVE(畠山理仁ch)【主催:畠山理仁ch】

 いずれも「ニコニコ生放送」の理解と協力がなければできなかった。すべての候補者と視聴者にも心から感謝したい。
 一方で、「『その他の候補』に政策なんてあるの?」と偉そうに言う人たちに聞きたい。

「あなたは選挙公報も読まずに投票したのですか?」

「その他の候補者」とされた中で一番の得票を集めたのは全体5位、日本第一党の桜井誠。立候補会見では自分を取り上げない既存メディアを大批判。(撮影/畠山理仁)
「その他の候補者」とされた中で一番の得票を集めたのは全体5位、日本第一党の桜井誠。立候補会見では自分を取り上げない既存メディアを大批判。(撮影/畠山理仁)
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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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