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畠山理仁「アラフォーから楽しむ選挙漫遊記」

田中けん(42才)vs田中けん(54才)! 候補者顔写真取り違え! 投票率は約20%の大幅減少! 静岡4区補欠選挙は私たちに何を教えてくれたのか

野党統一候補の田中けん候補(42才)の事務所。選挙中は人が少なかったため中に入れたが、開票日に報道陣は中に入れなかった。(撮影/畠山理仁)
野党統一候補の田中けん候補(42才)の事務所。選挙中は人が少なかったため中に入れたが、開票日に報道陣は中に入れなかった。(撮影/畠山理仁)

緊急事態宣言下の選挙運動はネット中心

 静岡4区内の有権者数が最も多い「静岡市清水開票区」で開票が始まるのは午後9時30分からだった。
 しかし、ふかざわ候補による勝利宣言、野党統一候補の田中けん候補の敗北宣言ともに、開票が始まる前の時間に行なわれた。投票率が低かったため、結果が予想しやすかったこともあるだろう(NHKは開票が始まった午後9時30分過ぎまで「当確」を出さなかった)。
 今回の補選の投票率は、なんと34.1%。前回2017年の衆院選挙からは19.62ポイントもマイナスとなっている。大幅な減少だ。
 補欠選挙はもともと投票率が低くなる傾向があるとはいえ、衝撃的な数字だ。約3人に1人しか選挙に行っていない。

 ふかざわ候補の事務所を離れ、野党統一候補の田中けん候補(42才)の事務所を訪ねた。こちらも報道陣は事務所の中に入れなかった。
 選挙中に事務所内を埋めていたテーブルは片付けられ、がらんとしたスペースに距離をとってパイプ椅子が8脚並べられていた。

「社民と共産の方がまだ到着していないので、田中候補による報告はまだ始まりません」

 現場に詰めた記者が電話で上司に電話をしていた。当確があまりにも早く、集まるべき人がすぐに集まれなかったのだ。

「事務所が狭いので、支援者の方にはなるべく自宅で開票速報を御覧くださいとお伝えしています。事務所にお越しいただくのも、各党代表2名に限らせていただいています」(田中けん事務所)

 田中けん候補を推したのは、立憲民主党、国民民主党、社民党、共産党。出席するのは各党派から2人だから、8分の4の人が事務所に来ていない。
 しばらく待つと、ようやくメンバーが揃い、田中候補の挨拶が始まった。
 田中候補は選挙中、各地での街頭演説を終えた後に事務所からYouTubeの「タナケンちゃんねる」で生配信を行ってきた。しかし、開票日には配信をしなかった。事務所に来られない支援者のことを考えれば、配信してもよかったかもしれない。ふかざわ候補の陣営は、当確後の様子もしっかり配信していたからだ。せっかくの武器を、最後の最後で置いてしまうのはもったいない。
 事務所内で各党派代表への挨拶を終えると、田中候補が事務所の外に出てきてメディアの共同インタビューに答えた。

「今回の選挙が衆議院での野党統一の初めての選挙戦ということで多くの党派を超えた支援をいただきました。そのことについては感謝の一言に尽きます。しかし、この結果は私の不徳のいたすところだと受け止めています」

 田中候補もやはり、選挙戦を通じてマスクをしたままだった。有権者に顔が見えない。見せたくても見せられない。それが新型コロナウイルス禍の中で行なわれる選挙だ。
 そして、田中けん候補(42才)は、こんなことも言っていた。

「私にとっては、同姓同名の候補も出るということで、普段では考えられない異例の選挙。大変やりづらい、制限された選挙だったと思っております」

 私は投票率が低くなった理由について、田中候補の認識を聞いた。

「私自身の思いや政策を伝えきれなかったというのもありましょうが、新型コロナウイルスの影響も大きいかと思います。とくに今日から全国が大きな自粛のムードになりまして、テレビでは外に出ないことを訴えかける報道がされています。あれを見てしまいますと、なかなか(投票に)行こうという方も足を止めてしまったのかなと。
 私としては当初から訴えていたように、オンライン投票や今までと違った形での投票もできればよかったなあと思っています」

「42才」がとにかく目立つ。その理由とは⁉️(撮影/畠山理仁)
「42才」がとにかく目立つ。その理由とは⁉️(撮影/畠山理仁)
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畠山理仁

はたけやま・みちよし●フリーランスライター。1973年生まれ。愛知県出身。早稲田大学第一文学部在学中の93年より、雑誌を中心に取材、執筆活動を開始。主に、選挙と政治家を取材。『黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い』で、第15回開高健ノンフィクション賞を受賞(集英社より刊行)。その他、『記者会見ゲリラ戦記』(扶桑社新書)、『領土問題、私はこう考える!』(集英社)などの著書がある。
公式ツイッターは@hatakezo

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