2019.12.9
『日本列島全員立候補』か『日本列島全部無投票』か。どちらの未来を望むのか?
全国375町村のうち93町村議会が無投票ないま
4年前の2015年4月に行われた統一地方選挙では、全国372町村のうち89町村議会が無投票だった。定員割れしたケースは4町村。
今年4月の統一地方選挙では、全国375町村のうち93町村議会が無投票。定員割れしたケースは8町村に増えた。
簡単な事実を言う。無投票の場合、有権者は「投票」することができない。つまり、立候補した人がそのまま当選する。
「この人にやってもらいたい」
「この人だけは嫌だ」
有権者は、こうした意思表示をする機会さえも失われてしまう。
『日本列島全部無投票』
そんなタイトルの本が、小説ではなくノンフィクションで出てしまいそうな勢いなのだ。
実際、「私が狙うのは無投票当選!」と豪語して選挙に出る候補者も現れた。それが2018年2月4日執行の茨城県境町長選挙に立候補した高嶋勇喜(たかしま・てつわんあとむ)氏だ。
ん? と思った人のために説明する。「勇喜」と書いて「てつわんあとむ」と読ませる。これは候補者の本名だ。高嶋氏は2016年に「努(つとむ)」から「勇喜(てつわんあとむ)」へと改名をしていた。
高嶋氏は、私が何度確認しても、「狙いは無投票当選しかない」と胸を張った。それどころか、「今後も無投票になりそうな選挙がある自治体に、被選挙権が得られる3ヶ月前に引っ越して選挙に出る」と予告した。
ちなみに、一度の選挙で複数人の当選者を選ぶ市区町村議会議員選挙(大選挙区)の場合、約2%〜2.5%の得票率があれば当選する可能性が高い。この数字を過去の選挙データからはじき出し、各地の選挙に候補者を立てて当選者を出しているのが「NHKから国民を守る党(N国)」だ。N国はこの戦略で、すでに34人の地方議員を誕生させている。カニやメロンを有権者に贈らなくても勝てる戦いがそこにはある。
選挙は立候補しなければ当選しない。逆に言えば、立候補すれば当選がぐっと近づく。選挙に行く40人のうち39人に嫌われても、1人に名前を書いてもらえば得票率2.5%で当選が見えてくるからだ。
日本は今、半数以上の人が選挙に行っていない。立候補する人も少ない。だから選挙に興味を持った人たちだけが、選挙の世界を自由自在に楽しむ状況が続いている。
『日本列島全員立候補』か『日本列島全部無投票』か。
被選挙権を持つみなさんは、どちらの未来をお望みだろうか。