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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

シングルマザーで、親子で発達障害。それでも穏やかに暮らせる理由とは?

セフレ、二股、ヒモ、ホス狂い……「ダメ恋」をやめられないのは、私に男を見る目がないから!?
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
前回に続き、親子で発達障害の診断を受けたシングルマザーの女性にお話を伺います。

ASDの息子が“浮きこぼれ”で不登校に

 DV夫と無事離婚をして地元に戻ったハルカさん。精神的にも肉体的にも大ダメージを受けていて、3階までの階段を上っただけで息切れをするほどで、すぐには働けなかったため、しばらくは生活保護を受けることになった。人生初の精神科にも通った。   
 女性の場合、学校などで女子ならではの集団行動で周りに擬態し、発達障害の特性に気づかない人も珍しくない。ハルカさんもそのタイプだったようで、これまでの生活で、表向きは発達障害による問題は出ていなかったものの、息子が保育園で発達障害の傾向を指摘されたことがきっかけで、ハルカさん自身もASD(自閉スペクトラム症)だと判明した。

 子どもが発達障害とわかった場合、療育(発達支援)を受けさせる親もいるが、現在小学校6年生のハルカさんの息子は、療育は受けていないという。

「SST(ソーシャルスキルトレーニング)には通ったのですが、それ以外のことはしていません。今、息子は不登校なんです。いじめとかではなくて、いわゆる“浮きこぼれ”です。息子自身は勉強がすごく好きな子なんです。でも、学校って横並びで、飛び出ている子がいたら目立ってしまう。息子はもっと先の勉強をしたいのに、それができないことがかなり苦痛だったようです。あとは聴覚過敏でどうしても周囲の雑音がきついということもあって」

 ハルカさんの息子は最初は普通級に入ったが、この調子ではまずいと思い、途中から特別支援学級への転籍を届け出た。しかし、学校の支援体制は担任の先生の考え一つで変わってしまうこともあり、なかなか理解してもらえなかった。

「努力すれば変われる」と思われてしまう

「学校には、この子にはこういう支援が必要ですという『支援ファイル』というのを出すんです。これには医師や保育士さんの意見書が入っています。それを、児童向けの知能検査であるWISCの結果と一緒に出したら、どうやら学校の先生はWISCの結果しか見ていないんですね。息子は総IQ自体は高いのですが、それでも特性でできないことがあります。でも、息子はこういうことができませんと言っても、『お母さん、この子が努力する機会を奪うんですか?』みたいなことを言われてしまって。努力の問題じゃないんだって言っても伝わらないんですよね。それで毎月学校から呼び出されて、私も息子もどんどん疲弊していってしまって。息子の特性でどうしてもできないことに、『努力』を強要されるんです」

 ハルカさんの息子は大勢が閉鎖された空間に集まる場にいられなかったり、自分の感情をすぐには認識できないところがある。この、感情の認識がすぐにはできずモヤモヤしてしまうのは、ハルカさん自身の特性でもあるという。その場でぱっと受け答えができないので、協調性がないと言われてしまう。
 現在息子さんは不登校だが、週に一度だけ学校に行き、そこでまとめて勉強を見てもらっている。息子さん自身も、自分がASDだと理解しており、自分が発達障害者であることに関しては特に何とも思っていないそうだ。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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