よみタイ

ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

DV夫から子どもを守る! 必死に逃げた発達障害母の壮絶半生

セフレ、二股、ヒモ、ホス狂い……「ダメ恋」をやめられないのは、私に男を見る目がないから!?
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
前回は、著者である姫野桂さんご自身の摂食障害について。
今回は、親子で発達障害の診断を受けたシングルマザーの女性にお話を伺います。

親子で同時に発達障害の診断を受ける

 発達障害傾向のある女性のなかには、男性につけこまれやすくモラハラやDVを受ける人も少なくない。この連載の過去回でも、同じような目に遭っている女性が不思議と多く、私自身も過去、ひどいモラハラを受けたことを前回書いた。
 今回登場するのは、夫からモラハラとDVの被害を受け、今はシングルマザーとして暮らすハルカさん(46歳・仮名)だ。

 ハルカさんには、発達障害の一種であるASD(自閉スペクトラム症)の診断が下りているが、本人が感じる特性としては不注意などのADHDの傾向のほうが強く、主治医もそれを認めているそうだ。ハルカさんは39歳の時、5歳の息子が通う園の保育士さんから「息子さんには発達障害の傾向があるかもしれません」と言われた。当時は「発達障害」という言葉を知らなかったため調べたところ、「これ、まんま私のことじゃん!」と思い、親子ともどもクリニックを受診し、息子と一緒にASDの診断を受けたという。

 ハルカさんはASDの診断を受けるまで、特に発達障害特性による困りごとを自覚することはなかったという。ただ、昔から気圧の変化に敏感で、気圧が下がると身体が動かず、朝起き上がれなくなり、高校を欠席することが増え、留年してしまったことがあった。
 体調が悪いなか、二度目の高校2年生をやっている時、「あの人、一つ上だよ」という情報がみんなに伝わり、高校に通いにくくなってしまいそのまま中退することになったのだそうだ。
 私自身も低気圧になると身体のだるさを感じるので、頻繁に気圧アプリをチェックしている。発達障害特有の疲れやすさや、体調管理が難しい、という特性は、単に「サボり癖」などと評されることも多く、学校や仕事からドロップアウトしてしまう原因にもなっていると感じる。

モラハラ男とばかり付き合ってしまう

 ハルカさんは高校中退後、レコード店で働いていた。元々音楽が好きでクラブに通ったりしていて、19歳の時に初めての彼氏ができた。しかし、その恋愛は決して明るいものではなかったという。

「彼が理想の女性像をものすごく押し付けてくるんです。しかも、いろいろ私に意見を聞いてくるくせに、その意見を一切採用しない。付き合い続けていくうちに、私の意見って受け入れてもらえないんだ、と自尊心がどんどん下がっていきました。今思うとまさにモラハラなんですが、当時は『モラハラ』なんていう言葉もなかったし、おかしいとも思わなくて、私が世間からズレているだけなんだと思っていました。それで、意見を言っても無駄だなと思い始め、しんどくなって、私から別れを切り出しました」

 その後付き合った男性たちも、最初の彼と同じくハルカさんの意見を受け入れない人ばかりだった。例えば「何食べに行きたい?」と聞かれたので「韓国料理がいいな」と答えたのに、黙って全く違う飲食店に連れて行かれ、後になって「俺は韓国料理なんて食べたくなかったから」と言われる。そんなことが日常茶飯事だった。
 彼とは同じ町に住んでいたのだが、彼の転勤が決まりなかなか会いにいけない距離になってしまった。その際も、ハルカさんは嫌だと一言も言っていないのに「仕事なんだから仕方ないだろ」と突然キレ始め、その時点で「この男はまずい」と頭の中で警戒警報が鳴ったという。
 極めつきは避妊をしないこと。避妊具を付けても途中で勝手に外されてしまう。生理が遅れるたびに気が気ではなく、この人とはもう無理だと思い、少しずつ距離を取り、黙って全ての連絡先をブロックした。

「でも、彼がSNSで私を探して友達申請をしてくるんです。なのでそのたびにすぐにブロックをして。今は自分が共依存に陥りやすい人間だと認識していますが、初対面ではモラハラをしてくる相手かどうかは見抜けません。だから今は、自分なりに許容するのはここまでというラインを決めていて、それを超えた時点でぱっと別れるようにしています」

 実はハルカさんはバツ2だ。一度目の結婚は24歳の時。相手は、珍しくモラハラをしてこない男性だったが、夫婦としてはどうしてもうまくいかなかった。結婚生活は6年ほどで終わったが、現在は友人として仲良くしているという。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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