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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

「私にも問題があるから強くは言えない」……“セクハラホイホイ女子”の悲痛な日常

セフレ、二股、ヒモ、ホス狂い……「ダメ恋」をやめられないのは、私に男を見る目がないから!?
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
前回は、風俗嬢として働くカナコさん(仮名)のお話を伺いました。
今回は、行く先行く先でセクハラに遭ってしまうマユミさん(仮名)が登場します。

 パートナーの男性に付き添われるよう、約束の時間よりも30分ほど遅れてやって来たのはマユミさん(31歳・仮名)。「イレギュラーなことが起こると、こうやって遅刻しちゃうんです」と申し訳なさそうに遅刻を謝罪してきた。
 マユミさんは目鼻立ちがしっかりとした華やかな顔立ちで、一般的には美人と言われるタイプのはずだが、話し方や目線の動かし方などに、どこか自信のなさが漂っている。この自信のなさそうな雰囲気は、以前、とある占い師さんからじーっと見つめられ「この自信のなさはどこから来るんだろう」と首を傾げられた私自身と重なった。私の場合はスクールカースト底辺であったことや、過干渉な親に「次は何を言われるんだろう」という不安から自己肯定感が下がり、自信をなくしてしまったと分析しているのだが、マユミさんの自信のなさはどこから来ているのかが気になった。 
 マユミさんが発達障害の診断を受けたのは、新卒で入社した企業で働き始めてしばらく経った頃。うつ病になってしまい休職し、クリニックで調べてもらったところ、発達障害の一種であるADHDとASDが見つかった。しかし、幼少期から就職するまで、特に発達障害の特性を自覚したことはなかったという。

「小さい頃から忘れ物や遅刻はよくしていましたが、成績が良かったので何も言われなかったんです。ただ、忘れ物をして教室の後ろに立たされているとき、他に忘れ物をして立っているのは家庭環境に何かしら問題がある子が多く、そんな中、特に家庭環境には問題のない私が立っているのは不思議な感覚がしました。小中高と、発達障害の特性は隠れてきたのですが、大学に入って一人暮らしを始めたら、授業に出られない日が続いて1年留年してしまいました。このときは、一人暮らしの解放感からのただの怠慢だと思っていましたが、今思うと、このときすでにうつ病の兆候が出ていたのかもしれません」

 忘れ物や遅刻が多いのに成績は良かったという当事者に以前何人か会ったことがある。そのうちの一人はそのときの授業内容が面白くなくて、より難しい教科書の先のページを読んだり、居眠りしていたところ、生活態度が悪いのに成績が良いことが担任の先生からすると面白くなく、そっけない態度を取られていたそうだ。私も小学5年生の頃、宿題をやったのに学校に持って行くのを忘れることがたびたびあり、いわゆる「勉強ができない子たち」と一緒に床に正座をさせられたり、げんこつをくらったりしていた。マユミさんの場合、担任から理不尽な扱いを受けることはなかったが、そのせいで特性に気づくのが遅れてしまった。
「大人の発達障害」が注目されるようになった理由の一つに、学生時代は親と同居しており、遅刻や忘れ物などの日常生活の困りごとをサポートしてもらえる環境にあり、勉強ができてさえいれば、あまり親や先生が問題視しないということがあげられる。就職してから初めて、親のサポートのない状態で暮らしたり、仕事を行うことになり、そこで発達障害の問題点が顕在化するというパターンが多いのだ。
 マユミさんは仕事内容についてはあまり触れなかった。よくよく聞いてみると、新卒で入った会社はブラック企業で長時間勤務が当たり前だったため、仕事の効率自体は良くなかったものの、残業を重ねればこなせたので、特に自分だけができないとは思わなかったそうだ。しかし、やはり長時間勤務は体に堪える。この長時間勤務とセクハラが重なり、うつ病を発症してしまった。もともと苦手だった事務作業が、うつ病になってから最初にできなくなった。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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