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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

「私にも問題があるから強くは言えない」……“セクハラホイホイ女子”の悲痛な日常

「セクハラホイホイ」の私

 大人になってからのマユミさんの困りごとは、どこで働いてもセクハラを受けることだという。

「アパレルショップでアルバイトをしていたことがあるのですが、私だけ社長に呼び出されてお茶のお供をさせられたり、容姿を褒められたり、ぎゅっと手を握られたりしていました。当時は、他のみんなも呼び出されてお茶を飲んでいるのかなとか、アパレル業だから容姿や身に付けているものを褒められるのかなと思っていましたが、最終的には夜道で抱きつかれてしまいました……。ここで初めて自分だけがセクハラを受けていることに気づいたんです」

 抱きつかれるまでセクハラに気づかなかったマユミさん。他にも彼女のセクハラエピソードはてんこ盛りだった。現在は英会話講師とホステスで生計を立てているマユミさんだが、新卒で入った会社でも今の職場でもセクハラとパワハラに遭っていた。

「新卒で入った会社は学歴不問で基本、顔採用のベンチャー企業でした。私は高学歴が武器だったのですが、それが通用しなくて……。他の同期には元モデルの綺麗な人や中卒の人もいました。そんな中で私はいじられキャラになってしまい、飲み会でもいじられて盛り上げる役割になっていました。そしてある日の飲み会で、いじられキャラの男性社員を指差しながら社長が『君、この男性社員と温泉旅行に行くならいくらで行ける? 10万? 100万?』と聞かれ、困りながら『100万……?』と答えたら、その男性社員から『お前はそんなに高い女なのかよ!』と言われて……その翌日に休職届を出して、そのまま会社を辞めました。まぁ、私と一緒にいじられていた男性社員もかわいそうなのですが」

 あまりにも無茶苦茶な扱いに絶句してしまった。これだけセクハラに遭っていれば「次はどんな目に遭うのだろう」とおどおどしてしまってもおかしくない。これは私の体験談からの推測だが、セクハラやモラハラをする人は、反撃しなさそうな人を選んでやっている。ちょっと強気そうな女性や「それ、セクハラですよ」とはっきり言う女性には絶対に手を出さない。マユミさんは、そうした男性から目をつけられているとしか思えない。

 今働いている職場でのパワハラ・セクハラについても話してくれた。

「今働いている英会話教室で、上司から授業風景をじーっと見られて、授業後ねちねちと英語に関する知識を一時間半くらい説教されたことがありました。あと、別の上司から目をつけられて、向こうは恋愛しているつもりのようだったんですが、私にとってはセクハラだったんです。喫煙室に呼び出されて抱きつかれたり、退勤後『一緒に帰ろう』と言われて帰ったら駅のホームで抱きしめられたり。拒否できなかった私も悪いと思うのですが、この上司がシフトを入れてくれるので、断ったら授業を減らされてしまうかもと思って……。私は今の仕事にやりがいとか熱意を持っているので、辞めさせられたくなくて……。それで、私がこの人のセフレになれば仕事を失わないで済むと思い、一緒にホテルに行ってしまいました」

 結局、上司と性的関係になってしまったことはマユミさんが別の上司に相談したことからおおごととなって本部に伝わった。上司は謹慎処分となったが、マユミさんのシフトが減らされることはなかった。マユミさんは「私も悪いと思うのですが…」と前置きしていたが、自分のシフトが減らされる可能性のある相手から関係を持ちかけられるのは明らかにセクハラであり、マユミさんは悪くない。「私が応じれば済む」と相手の要求を受け入れてしまうことも、発達障害女子の「私が間違っている」「私が悪いから」という歪んだ自己評価が生んでしまう間違った対応だ。

イラスト:にくまん子
イラスト:にくまん子
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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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