よみタイ

ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

「風俗業界にも労働組合を作りたい」社会派風俗嬢の強い願い

風俗業界の働きづらさを変えたい

 カナコさんは現在24歳。熟女店も視野に入れるとまだまだ需要はあるが、いつまでも風俗嬢として働くのは厳しい面もある。前編でも少し触れたが、カナコさんは今の風俗業界に対して労働環境をもっと整えるべきだと考えている。

「嬢として働けるうちは働きたいし、困窮して風俗に来た女の子の仕事が続かないこととか、負担になっていることを解決できればと。写メ日記とかも正直やらなくていい仕事だと思うんです。
 あと、性感染症に関して女の子たちは防ぎようがない部分があります。女の子は定期的に検査していてもお客さんが検査していなかったら女の子たちにうつってしまいます。その点をどうやったら改善できるか考えています。
 ホストクラブは入店の際、客が未成年でないことの確認のために身分証を見せないといけないじゃないですか。それを風俗でもやったほうがいいと思うんです。ルールを守らず女の子を傷つける層も一定数いるので、その抑止にも繋がりますし。
 将来的には風俗の労働組合を作りたいんです。セックスワークの女性の労働環境に関して活動を行っている団体があって、そこの代表の方とやり取りをしているのですが、やっぱりどうしても気分障害で気分にムラがあって……。その日はやる気があっても翌日には沈んでしまっていたりして、結局まだ行動に移せていません。でも、一人で現在の風俗業界の問題を考えるには限界があるので、誰かと一緒にセックスワーカーの女性を手助けできる人間になりたいです。女の子が働く上で何か少し不満があって、お店のスタッフに『ここを改善してほしい』と言ってもなかなか通りません。そういうことを相談できる場があればいいなと」

 

イラスト:にくまん子
イラスト:にくまん子

 カナコさんは運が良いことに今まで性感染症にかかったことはないというが、風俗という仕事は性感染症と常に隣り合わせだ。私がM性感で働いていた頃、その店は粘膜接触のないルールだったので病気の心配はせずに済んだし、むしろ病気の心配がないからこそ数ある風俗店の中でもM性感を選んだ。また、確かに風俗店は入店時に身分証の確認がない。お客さんのほとんどは偽名を使って風俗店を利用していたように思える。私が働いていた店は一応顧客リストを作ってはいたが、偽名ならばもし何か事件が起こったとしても、あまり役には立たないだろう。

 発達障害の二次障害による気分の波があっても、当日欠勤ができる風俗。労働環境の問題はあれど、カナコさんにとっては貴重な働く場所なのだ。  
 とはいえ、以前取材したエステ店で働くエリカさんは、月に20万円ほどしか稼げていなかった。コンスタントに出勤できない発達障害女子には風俗がオススメだとは決して言い切れないし、デメリットも多くある。そんな働きづらさを感じている風俗嬢のためにも、カナコさんのように、当事者からまず声を上げていくことが、大切な一歩になるはずだ。

風俗で働かずに済むように……と望む人もいれば、風俗がもっと働きやすくなれば、と願う人もいます。カナコさんの行動が、彼女たちの声をすくいあげるきっかけになるかもしれません。次回は1月15日(土)公開予定です。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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