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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

当日欠勤ができて大金が「自分の成績表」に見えるありがたみ~発達障害女子が風俗で働く理由

男性は野良犬だと思って接している

 カナコさんは風俗で働いてはいるが、男性を嫌悪している部分もあるという。大学の頃、ジェンダーや性被害に関する講義で茶化す男子学生がいたときは耐え切れずに注意をしたこともある。

「私、基本男性を野良犬扱いしているんです。犬だから可愛いのですが、野良犬だから飼おうとは思わない。お客さんのことも野良犬だと思って接していて、すごく可愛いな~と恋人のような接客はできるけど、飼ってはあげられない。だから、ちょっと見放したような距離感を作っています。お客さんに本気になられて告白されたこともあるのですが、告白したところで付き合ってはくれないだろうなという雰囲気を醸し出しているので、告白だけして満足してまたリピートしてくれるお客さんが多いです」

 24歳とは思えないほどしっかりと自分の意思を持っているカナコさん。当日欠勤ができる風俗は発達障害や二次障害のある女性にとってありがたい環境だ。しかし先日、「風俗はセーフティネットではない。働けない人は生活保護を利用してほしい」という趣旨のTwitterの投稿がネット上で波紋を広げた。このことについてはどう考えているのだろうか。

「確かに風俗はセーフティネットじゃないし、福祉を頼るほうがいいという気持ちも、分からなくはありません。やっぱり大変な思いをして風俗をしている人もいるので……。だけど、お金がないから風俗をやろうという人ばかりではなくて、小さい頃から女性は性的に消費されるものだ、そういうものなんだという刷り込みがあると思うんです。街を歩けば高収入を謳う風俗の求人トラックが走っていますし。そういう光景を見ると、お金に困っていなくても何となく稼げてキラキラした世界に見えて、気軽な気持ちで始める子もいると思います。
 福祉に頼るべきという考えもわかりますが、やはり私のように発達障害と気分障害でコンスタントに出勤できない人にとっては、すごくありがたい労働環境なんです。現状で風俗をなくして福祉に頼ってほしいというのは無理くりすぎるというか。風俗をなくしたいのであれば、今働いている女性たちの労働環境を改善するために、段階的にいろんなことを一緒に解決していってほしいです」

 発達障害であるカナコさんにとっては働きやすい風俗。それでもまだまだ問題が山積みだとカナコさんは語る。もともと勉強が好きなので、本当は学費を貯めてまた大学に戻り、法律の勉強をしたり、イラストやデザインも好きなので専門学校で学び、風俗店のサイトをデザインしてみたいとも考えている。なぜ彼女は風俗嬢として働きながら、社会問題に目を向け続けるのか、きっかけは10代の頃に遡る。
 

風俗嬢ならではの視点から積極的に発言をするカナコさん。
2022年1月1日更新の後編では、カナコさんが学生時代から感じてきた社会への「違和感」が語られます。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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