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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

当日欠勤ができて大金が「自分の成績表」に見えるありがたみ~発達障害女子が風俗で働く理由

頑張りがお金で証明される

 カナコさんは21歳から風俗で働き始めたが、だんだんと気分障害がひどくなり、大学にも行けなくなって中退してしまう。しかし、風俗は24歳の今までずっと続けられている。

「風俗を続けているのは経済的な面が一番なのですが、私にとって働きやすいんです。風俗は当日欠勤ありきの職なので気分障害で体調が優れない日は休めます。途中で具合が悪くなれば早退もできます。働きたいと思ったときに働ける。週5日8時間働いて100万くらい稼ぐ月もありますが、ちょっと体力的にしんどいなと思うときは週3日で月40万くらい。風俗って働いたその日にお金がもらえるじゃないですか。そのお金が自分の成績表のように感じて、私はこれだけ頑張ったというのが目に見えて証明できる点も自分に合っていると思っています。自分は無価値ではないのだと」

 また、カナコさんは風俗サイトのランキング1位を取ったこともあるほどの人気嬢だ。人気嬢は男性に媚びて気に入られているようなイメージを持っていたが、カナコさんの場合は全く違う。上から目線のタメ口で話してくる男性や、許可なく身体を触ってくる人が嫌なので、出会った瞬間からずっと会話をリードして、ある意味自分に服従させていくスタイルなのだという。このプレイスタイルは客からは「雰囲気作りがうまい」と評判なのだとか。カナコさんが働いているのは店舗型ヘルス。本番行為は禁止の店だ。しかし、中には「チップあげるから本番してよ」と強要をしてくる男性もいるのではないだろうか。

「本番強要は、今のプレイスタイルになってから2回しかありません。本番強要をされたとき、これはよくないことだと思うんですが、お客さんに土下座させました。そして、『今日、本番強要されたから土下座させててやった』とお店の写メ日記にも書きました。私はルールを守るというポリシーで働いているので。でも、場の雰囲気を崩したくないから本番をしてしまう嬢の気持ちもわかります。仕事においてもプライベートにおいても、男性にノーという言葉を突きつけるのはとても難しい。だから、ルールを破って本番強要をしてくる奴には私が怒りを可視化してやろうと思って強気に出ています。大学の頃に少し齧って、その後独学したジェンダーやフェミニズムの問題についても写メ日記でガンガン書いちゃってます。そうしたら、私の写メ日記を見て、『盗撮の被害を防ぐためのトイレ作りをした』というお客さんが来てくれたり、沖縄戦のことを書いたときには会ったこともない沖縄の方からプレゼントが届いたこともありました」

 私も昔、風俗嬢をしていたときに本番強要をされたことがあるが、私が働いていた店は少し特殊な「M性感」というもので、基本女性にいじめられたい性癖のお客さんが多かった。そのため「ここはそういうことする店じゃないんで他の店に行ってください」ときっぱり言っても逆ギレする客はいなかったが、それでも初めて本番強要をされたときはどうしたらいいのかわからず、下を向いて首を横に振ることしかできなかった。
 エロを求めてきているはずのお客さんに媚びずに、お客さんへのアピールである写メ日記で社会問題を提起する。自分のプレイスタイルとポリシーを持っているカナコさんがカッコよく見えた。

イラスト:にくまん子
イラスト:にくまん子
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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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