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ダメ恋やめられる!? 〜発達障害女子の愛と性〜

恋愛依存体質の私が、ホス狂いを卒業して幸せな結婚生活を送れる理由

ホストに行くことを許す夫

 ルイさんは結婚後も何度か、歌舞伎町のホストクラブに飲みに行っている。初回だと3000円ほどで飲めるが、その後も通ってお金を使ったのは一度だけ、3万円ほどで済んだという。結婚しているのにホストクラブ通いを許すという夫はどんな人なのだろうか。

「一回、『私がホストに行くの、どう思っているの?』と聞いたんです。そしたら『生きていけなくなるくらいお金を使ったりしなければ別にどうでもいい。変な遊びはしないと信じているから好きに使ったらいいよ、そうじゃないと働く意味が分からなくなるでしょう』と言われたんです。それ以来ホストには行っていません」

 なんという心の広い夫……。私は先日、私の本を読んでくれたことのある著名な男性がホストを始めたので、お店に会いに行ってみたいと、今お付き合いしている彼に言ったところ、大いに揉めた。多くの人にとってはこの感覚が普通で、妻や彼女がホストクラブに行くことを許す男性は少ないのではないだろうか。

 ルイさんの恋愛依存は、相性の良いパートナーと出会ったことで改善されたが、現在も睡眠障害とうつ病で月1回、メンタルクリニックに通院している。通院では医師に「安定している」と言ったことはなく「常にザワザワしている」と答えている。ルイさんには多動の特性があるので、常に何かをしていないと死にたい気持ちになってしまうのだそうだ。
 ルイさんに取材を行ったのは緊急事態宣言中。カラオケ店は休業要請を受けている最中で、1ヶ月以上働いていなかった。給与補償はきちんと出ているそうだが、働いていないと暇になり、うつ病が悪化したりしないのだろうか。

「夫がうまくコントロールしてくれて、夫が休みの日は『外に行こう』と連れ出してくれるんです。あと、私はアニメや舞台、ゲームなど多趣味なので、明日はアニメの最新話があるな、とか、次の舞台はどんなのだろう、ゲームの次のアップデートはどうなるんだろうとか、楽しみを常にいくつか作っておいているんです。アニメや舞台、ゲームがあるから死ねないなと思っています」

 今は寛大な心の夫の元で平和に暮らしているルイさん。ホストに尽くしているときは虚しさなどを感じたことはなかったのだろうかという問いに、「そんなになかったかな。下手に利害関係のない男と付き合うよりも、ホストの方がマメに連絡をくれるし、色恋営業で“彼女”という立ち位置だったから。あと、私の場合はライバルがいなかったのも大きい」とのことだった。支払った金額でわかりやすくステイタスが上がっていくホストとの関係よりも、恋愛という数値化できない関係の方が不安が大きいのかもしれない。

 一度はホスト沼にハマって障害年金を使い果たし、風俗店で働くことを決意したルイさんだったが、今はうつ病や睡眠障害に悩まされつつも夫とパートナーシップを築いてうまくやれている。ルイさんの場合、ホスト沼から抜け出せたのは友人の「縁を切る」の一言だった。ルイさんは社交的で明るい雰囲気のため、比較的友達付き合いが得意なようだが、発達障害の特性として、人間関係のトラブルで苦労する人も多い。人を苦しめるのが人間なら、救うのもまた人間なのだ。
 どのような人と出会えるかで人生は大きく変わる。発達障害があれば特にその傾向は強まる。そのあたりが、発達障害女子の生きやすさへの鍵となってきそうだ。
 

12月18日(土)公開予定の次回は、発達障害の特性から「風俗が働きやすい」という風俗嬢の女性にお話を伺います。

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姫野桂

ひめの・けい
フリーライター。1987年生まれ。宮崎市出身。日本女子大学文学部日本文学科卒。大学時代は出版社でアルバイトをし、編集業務を学ぶ。卒業後は一般企業に就職。25歳のときにライターに転身。現在は週刊誌やウェブなどで執筆中。専門は性、社会問題、生きづらさ。猫が好き過ぎて愛玩動物飼養管理士2級を取得。著書に『私たちは生きづらさを抱えている 発達障害じゃない人に伝えたい当事者の本音』(イースト・プレス)、『発達障害グレーゾーン』(扶桑社新書)、『「発達障害かも?」という人のための「生きづらさ」解消ライフハック』(ディスカヴァー21)、『生きづらさにまみれて』(晶文社)がある。


Twitter @himeno_kei

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