2021.9.18
どうしても不倫をしてしまう……衝動性を抑えられない彼女が選んだ生き方とは
『私たちは生きづらさを抱えている』『発達障害グレーゾーン』などの著書があるライターの姫野桂さんが、発達障害女性たちの恋愛事情に迫るルポ連載。
前回は、バツ2の官能小説家・ミサさん(仮名)にご登場いただきました。
今回は、どうしても不倫がやめられなかったミナコさん(仮名)にお話を伺います。
あまりの仕事のできなさに「脳がおかしいのではないか」
Tシャツにパンツスタイルというラフな格好で待ち合わせ場所に現れたのは会社員のミナコさん(37歳・仮名)。彼女に発達障害の一つであるASD(自閉スペクトラム症)の診断が下りたのは30歳のとき。大学院の修士課程を卒業後、新卒で今の会社に就職したが、あまりにも仕事ができないことから、「自分の脳がおかしいのではないか」と悩み、カウンセリングを受けた。
「ちょっと仕事ができないとかいうレベルではなく、尋常じゃないくらい仕事ができないんです。記憶障害なのではないかというくらいのすっ飛び具合でした。どう頑張ってもみんなの半分くらいしか仕事をこなせないんです。最初のうちはカウンセラーさんからパーソナリティ障害を疑われたのですが、あまりにも私があっけらかんとしていることから、『これは心の病気とは違う』と判断され、発達障害ではないか、と言われました。それでクリニックに検査に行くとASDの診断が下りました。この診断結果はすごく腑に落ちました。このときは営業の仕事をしていたのですが、6年目に入り、もう営業をやめたい気持ちでいっぱいで、そのためには診断を取るしかない、といった感じです」
しかし、ミナコさんは現在も新卒で入った会社を辞めずに営業の仕事を続けている。これは理解のある上司の配慮によるところが大きい。ミナコさんがASDであることは職場ではごく一部の人にしか知られていないそうだ。
常に本命のパートナー以外にも恋人がいて不倫に走る
ミナコさんは小さい頃からクラスに1人ずつ好きな人ができるような性質を持っていた。それは大人になってからも続き、常にパートナーの他にも好きな人がいたという。学生時代はいろんな人と付き合って遊び倒し、本命も浮気相手も常にいる生活を送っていた。のちに結婚することになる夫も学生時代に出会い、3ヶ月だけ付き合ってから数年後にヨリを戻したのだという。同級生は彼女のことを、たんに「気が多いやつなんだな」と思っていたようだ。———本命のパートナー以外にも複数好きな人がいて、全員の合意のもと恋愛関係を持つ———。この生き方をポリアモリーと呼ぶことは18歳の頃に既に知っていたとミナコさん。でも、ミナコさん自身はモノガミー(一人の人だけと恋愛する生き方)になりたいとずっと思っていた。結婚すれば他に好きな人ができることはなくなるのではないかと思い、27歳の頃に結婚。ところが、他に好きな人ができなくなるどころか、不倫を繰り返してしまう日々が始まった。夫に不満があるわけでも家庭に問題があるわけでもないのに好きな人がたくさんできてしまい、そのたびに不倫に走ってしまう。